「職場バレを防ぎたい」キャバ嬢OLがマイナンバーの疑問を聞くべく区役所を訪問
マイナンバーで一番煽りを受けるのは夜の世界だと言われており、キャバ嬢たちも戦々恐々としている。本当に、マイナンバー制度の開始によって、キャバで働いていることは昼職にばれるのだろうか。税理士によって言うことも違うので、都内に住む現役のOLキャバ嬢・はるか(源氏名・24歳・事務職)と共に、彼女の住む都内T区役所に行って話を聞いた。
はるか:マイナンバー制度の開始で、キャバクラで働いていることがバレるって本当ですか? 店長が、「マイナンバー制度が始まると、昼職とキャバクラの収入がマイナンバーによって紐づくから、これからは昼職にキャバクラで働いているのがバレる」って言われたんだけど……
職員:まず、マイナンバー制度が開始されたからと言って、すぐに副業していることが本業の会社にばれることはありません。マイナンバー制度が、課税(住民税・所得税)に利用されるのは平成29年、つまり来年1月からの収入からですので、今年の分は大丈夫です。
はるか:じゃあ今年はともかく、来年はやっぱりバレるってこと?
職員:そうとも言えません。キャバクラが税務署に提出する「誰にどのくらい支払っているか」が書かれた支払調書には、今後マイナンバーを記載することになります。しかし、その支払調書が直接本業(昼職)の会社に届くわけではありません。支払調書に書かれたマイナンバーと本業の会社に提出したマイナンバーがどのように紐づけられ、区役所に届き、会社に通知されるのか、まだはっきり決まってないんです。そのため、絶対にバレるとは言えませんし、バレないとも言えない状況なんです。
はるか:なんだかはっきりしないなあ…
職員:ただマイナンバーよりもむしろ、平成29年から税金の徴収方法の制度が変わる可能性があるんです。こちらのほうが本業の会社にバレてしまうという点では影響があるかもしれません。
副業が本業の会社にバレるのは、税を納める手続きに関連しています。今までは、本業の分の税金は会社が支払手続きをし、副業の分は自分で支払手続きを行うことができました。つまり、副業と本業とは切り離すことができたんです。
でも、今後は1人に対して税金の徴収方法は1通り、つまり本業の会社で副業分もまとめて手続きするか、すべて自分でするか、どちらかしかできなくなるように制度が変更される可能性があるんです。そうなるかどうかはまだはっきりとは決まっていないのですが…
本業の会社では「自分で納めます」というのは認めてもらえない場合が多いので、そうなると職場に送られる書類にキャバクラの収入が掲載されてしまいます。
はるか:そうなったら一発でキャバで働いていることがバレるってこと?
職員:これも、すぐにバレるとは限りません。制度が変わるとしても、収入の内訳は個人情報ということで、目隠しテープなどを貼って見えない様にし、会社に送られると想定されています。
ただ、支払う税金の金額部分は目隠しがされません。副業をしている人は、その分多く税金を支払わなくてはいけないため、その額を見て、経理の人が「うち以外に収入があるのでは…」と思う可能性はあります。これにしても、控除などがありますから、ぱっと見て即座にバレるということはないですが…
はるか:気付かれたら、副業してる疑惑を持たれちゃうってことかあ。
職員:そうですね。ただ、その場合でも「どこで得た収入なのか」はどこにも書かれませんし、区役所に問い合わせても私たちがお答えすることは絶対にありません。
はるか:「キャバで副業してることはバレない」けど「どこかで副業してる」というのはバレちゃうのね…今年はいいとして、来年以降も副業していることそのものがバレない確実な方法って無いの?
職員:いかんせんまだはっきりと制度が決まっていないため、来年以降についてはまたこの時期にご相談に来ていただければと思います。
はるか:でもその時点で、「もう今年の1月から11月の分は昼職にばれちゃいますね」ってなるかもしれないってことよね。
職員:うーん、そうですね…
◆「確定申告してバレないことを祈る」か「すっぱり辞める」の二択
結局、区役所が教えてくれる「正しい方法」では、キャバクラで働いていることはバレないが、副業していることを隠す確実な方法は無いとのことだった。
なお、今回の相談では、確定申告はするという前提で話を進めている。最初に「確定申告しなきゃバレないですか?」と聞いたところ、当然ながら「確定申告してください」と言われたためだ。確定申告する場合、平成28年に関しては例年通り副業分の税金を自分で納める「普通徴収」を選択すれば、本業にバレる可能性はほぼ無いとの回答を得た。
来年1月以降については今のところ「確定申告してバレないことを祈る」か「すっぱり辞める」の二択しかなさそうだ。マイナンバー制度の導入に伴い、確定申告をしていない者が特定されやすくなると言われているため、第三の選択肢である「確定申告をせずにやりすごす」はリスクが高い。バレた場合は、過去分あわせて莫大な税金を徴収される可能性がある。
しかし、税金の納め方を一通りにする制度がそんなすぐに整備できるとも限らない。来年は制度が変わらないと信じてもう1年だけ働きながら様子を見るのもアリかもしれない。 <取材・文/此方マハ>
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