Webジャーナリズムの日本での可能性と紙媒体の未来――BuzzFeed統括編集長が語る
全世界から月間2億人が訪れる米国発メディア「BuzzFeed(バズフィード)」が日本に上陸した。“Webメディアの黒船”は、日本のメディアをどう見たのか?
’12年、米国の政治ジャーナリストとして第一線で活躍してきたベン・スミス氏がバズフィード全体を統括する編集長に就任して以来、バズフィードは設立当初から手がけてきたエンタメ分野のコンテンツだけでなく、ジャーナリズムやルポルタージュにも挑戦し、今では世界で確固たる地位を築きつつある。
この路線は当然ながら日本版にも引き継がれ、日本版バズフィードもジャーナリズム路線を開拓していく方針だ。
しかし一方で、日本のジャーナリズムは閉鎖的でWeb媒体が入りづらい環境にある。米国で政治ジャーナリストとして第一線で活躍してきたベン・スミス編集長はこうした日本のジャーナリズムをめぐる状況をどう見ているのか?
「我々は昨年オバマ大統領にインタビュー取材をしましたが、オバマ大統領がバズフィードを選んでくれたのは、バズフィードに語りたいからではなく、その先に存在するバズフィードを読むオーディエンスに語りたいという意志があったからです。日本は確かに記者クラブなどの存在があり、新興媒体は取材しにくいかもしれない。
しかし、我々が多くのオーディエンスを掴むことができたら、最終的には政治家などのリーダー層も、バズフィードの存在を意識せざるを得なくなると思います。また、アメリカでも、新聞などのレガシーメディアの発行部数は落ち続けています。
それは事実ですが、これは従来メディアの消失を意味するのではなく、新しいメディアと従来メディアの境界線が消えつつあることだと捉えています。メディアが古かろうが新しかろうが、その先のオーディエンスは今でも存在していて、むしろ昔よりも今のほうが、何かしらの情報を受け取る人々は増えています。
Webで記事や写真を楽しむ人たちに対して、従来メディアが自分自身をどう変えることができるのか。それができているところが成功していくのではないでしょうか」
【ベン・スミス】
イェール大学を首席で卒業。’11年まで政治メディア「POLITICO」のライターを務め、執筆ブログが『TIME』誌の「’10年の必読ブログベスト5」に選ばれる。’12年1月から「バズフィード」編集長に就任
<取材・文/北村篤裕 撮影/我妻慶一>
BuzzFeed統括編集長 ベン・スミス氏
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