東電の社宅が嫌がらせの標的に
原発事故への責任追及が東京電力社員に集中している。「事故の責任を取れ」というが、一社員にとってはどうしようもない。それでも脅迫やイジメは続く。そもそも、原発に関わってこなかった人がほとんどの職場。そんな現場の声をリポートした。
◆ 「ウサ晴らしに飲みにも行けない」東電社員の厳しすぎる日常
東電への激しいバッシングは、社員の日常生活にも支障をきたしている。
「毎日ストレスがたまるので、本当は飲みに行きたい。でも、同僚から『飲みに行ったら酔っ払いにからまれた』という話を聞いていたので、なじみの飲み屋にも行けなくなった。ここ半年ほど外に飲みに行っていません。同僚とその家族とで、こっそりバーベキューをしたくらいです」(Jさん)
ところが、それもバッシングのネタとなってしまう。
「同僚の自宅の庭でバーベキューをしていたら『こんな時期に不謹慎だ』と、近所の人から会社に苦情電話が入ったんです。その後、上司から内々に『あまり人目のつくところで遊ばないように』とお達しがありました」(同)
また、社宅はいやがらせの標的となりやすい。
「ウチの社宅は『社員の安全のため』と事故後に看板が外されましたが、ネットの地図を見ればすぐに東電の社宅だとわかってしまいます。一時期は社宅の住人に見境なくからんでくる酔っ払いのオジサンがいましたし、見知らぬ人がウロウロしていると恐怖感でいっぱいになります。夜は怖くて出歩けません。『大飯原発再稼働反対』のチラシや原発事故の週刊誌記事が、駐車場の壁にベッタリと貼りつけられていたこともありました」(Kさん)
そのほか「クルマに原子力のマークを落書きされた」「家の前に生ゴミを置かれた」「犬のフンが玄関前に積まれていた」など、子供のイタズラのようないやがらせも数々あるようだ。
― 東電「一般社員」の声に出さない悲鳴【4】 ―
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