「公務員だからギャラはなし」のお笑いコンビ。その名は「安定志向」
投手と打者の二刀流挑戦で話題の日ハム・大谷翔平選手。が、それはあくまで同じ野球という競技のなかでの話。世の中にはもっとかけ離れたジャンルでの二刀流で活躍している人たちがいる。そんな“スーパー二刀流”のすごい人々に、両立の極意を聞いてみた。マジですごいよ!
◆公務員×お笑い芸人
女性公務員による漫才コンビ「安定志向」が誕生したのは5年前のこと。
「演劇仲間だった大阪市職員の福田恵に突然、『M-1グランプリ』に出ようと誘われたのがきっかけです」と話すツッコミ担当の藤京子さんは、公立中学の現役教師だ。漫才は未経験、ネタの作り方もわからない。
「おまけに私らは見た目もホンッマにフツーで特徴がない。で、印象に残るための苦肉の策として、公務員を前面に押し出すことに」
それが奇跡的にウケて1回戦を120組中トップ通過したものの、2回戦であっさり敗退。「もっと漫才がうまくなりたいと思うようになった」とか。「安定志向」の名が知られ始めると、市内の商店街のイベントへの出演依頼など、芸人としての活動が増えるように。
「といっても、公務員ですから副業禁止規定により当然ノーギャラだし、活動は業務時間外に行うので職務専念義務も守ってます。さらに大阪市の政治活動規制条例にも気を使う。超ザックリ言うと、職員は政治的な意見を公に言ってはいけないという内容が含まれてるんです」とは、さすが公務員。あれこれ規制があって大変だ。
「誤解が生じないようネタのチェックもしっかりやりますね。練習は公園でするのですが、土地柄かすぐに人が集まってきて、ダメ出しまで的確にしてくれるんです。ネタの内容も『それはちょっとアブナイんちゃうか』なんて(笑)」
そんな2人の活動を周囲も応援してくれているそうだ。
「福田は上司からは基本的に真面目と評価されているようなので、最初は驚かれたみたい。私も保護者会で真面目な話をしたあとに、お母さん方から『先生のネタ、ユーチューブで見ましたよ』とか言われると焦りますけど(笑)。今はどちらかに絞るつもりはありません。私らの場合、公務員やりながら漫才してるって設定がオイシイわけですし、どちらも楽しいので時間的体力的にはきついけど、できるだけ長く続けたいですね」
【安定志向】
大阪府職員の藤京子と市職員の福田恵により’08年に結成。市民サービスの向上をめざして活動中
― 投手兼打者どころの騒ぎじゃない列伝【4】 ―
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