更新日:2014年02月27日 16:15
ライフ

栄えあるベストLCCに選ばれた「スクート」に乗ってみた

スクート

搭乗待合室から撮影したスクートの勇姿。空飛ぶイエローサブマリンだ

 バニラエア、ピーチ、ジェットスターなど、日本でもLCC(ローコストキャリア/格安航空会社)がポピュラーなものになってきた。国内外を問わず、旅行は近距離が基本で、現地でのグルメの予定を機内食に邪魔されたくない記者は、進んでこれらのLCCを利用してきたが、今回、アジア太平洋地域で「ベストLCCオブ・ザ・イヤー2012」に選ばれた、シンガポールのLCC「スクート」に乗る機会に恵まれた。  シンガポールのナショナルエアライン、シンガポール航空の100%子会社にあたるスクート。社名は、英語で「サクッと出かける」という意味からきている。  日本には成田から台北経由のシンガポール行きが毎日就航している。台湾に行く予定のあった記者は、成田—台北間の往復航空券を購入。台北からの復路の出発時間が午前6時台のみというのには閉口したが、レギュラーシーズンに往復で2万4000円という値段は、東京—大阪間の往復新幹線代よりも安く、早朝出発という不満を補うのにあまりある低料金設定だ。  空港の一番端に設定されている搭乗口まで向かうと、特徴的な黄色の機体が見えてくる。往路の出発時間は午前11時と理想的。LCCは航空券を片道で買えるということもあって利用客が集中したのか、行きの待合室は1時間前にしてすでに満員。「狭い機内でスシ詰め状態になるんじゃ……」という不安をよそに、座り心地はごく普通。LCCは短距離路線がメインだが、スクートは中長距離を想定しているため、大型航空機(ボーイング777)を採用している。ほかのLCCと座席ごとの空間は同程度だが、感覚的に広く感じるのはそのせいか。  ボディラインを強調した黄×黒のピチピチしたワンピース姿の客室乗務員に目を奪われつつも、飛行機は離陸。まずは話のタネに、有料の機内食を注文することにした。  それぞれの座席ごとに、ホットミール、ドリンクのメニューが常備されている。今回利用した路線で確認できたのは以下の4つだ。 ・ハンガリー料理のビーフグラーシェ ・焼き鶏とキノコご飯 ・シンガポール料理のナシビリヤニ ・レッドカレー ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=594031  料金はすべて12シンガポールドル(約960円)。多民族国家・シンガポールの航空会社らしい品揃え。メニューの写真を見るとどれも美味そうだが、今回はレッドカレーを注文。温めるのに時間がかかるらしく、オーダーしてから30分後に運ばれてきた。  味は悪くないが、見た目は写真以上にショボい印象があり、1000円払って頼む価値があるかといえば微妙といえる。到着までガマンできないほどの空腹ならともかく、3時間程度の飛行時間でオーダーする必要はなさそうだ。ちなみに、缶ビールは7シンガポールドル(約560円)であったことも付け加えておく。  特筆すべきは、機内エンターテインメント。事前予約すれば、1000円程度でiPadなどの端末をレンタルでき、「ScooTV」という映画、ビデオプログラムを楽しめる。これは機内ストリームによるものなので、レンタルせずとも、自前のノートPCやタブレット端末があれば利用可能。このシステムでは、アジア圏の航空会社としては初の試みらしく、そこら辺はさすがベストLCCというべき、創意工夫に溢れているといえよう。  個人的には、ブロイラーのように決まった時間に機内食を提供され、食べ終わったあとも食器を下げてもらうまで落ち着かないメジャーな航空会社よりも、「欲しいものは自分が欲しいときに」のLCCのほうが、不満はない。もちろん、格安であるということが最大のメリットではあるが、今後は価格競争だけではなく、サービスや利便性の拡充で他社との差異をはかってくることは容易に想像できる。  スクートの機内エンターテイメントサービスのように、各社ごとに異なるプラスアルファを見つけるのも面白いかもしれない。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
おすすめ記事
ハッシュタグ