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なぜ日本の富裕層はシンガポールに移住したがるのか?

与沢翼 与沢翼氏のように、近年、日本を脱出して海外へ移住する日本人富裕層が増えている。なぜか? シンガポール在住の税理士、ヘンリー石田氏はこう説明する。 「日本と比べて圧倒的に税率が低いことが挙げられます。例えば課税所得1億円の場合、日本だと5105万円の税金がかかりますが、シンガポールだと1810万円で済みます。法人税を見ても、日本の法定実効税率が35.64%に対し、シンガポールは一律17%。しかも、法人を設立して3年間は税額控除による軽減措置もあります」  税制面だけではなく、ビジネス環境が整っている点も挙げられる。 「シンガポールは’14 年から成長率が鈍化しており、技術革新や社員育成に取り組む企業に対し補助金を出しています。これが、起業を後押ししています。合理主義なシンガポールなら、自由な発想で自由にビジネスができ、公平に審判される。その意味で、頑張る若い経営者にはよい環境といえるでしょう」  これらはフローリッチな新富裕層にとってのメリット。一方で、ストックリッチな富裕層もシンガポールを目指している。現地法人を持ち、シンガポールの金融事情に詳しいA氏に話を聞いた。 「今年7月から日本では『出国税』が始まります。これは、合計1億円以上の資産を保有している人が出国するとき、資産への含み益に課税しようというもの。キャピタルフライト(資本逃避)を阻止しようとする税制で、ストックリッチな富裕層は7月の前に日本を脱出しようとしています。  また、そういった富裕層にとって悩みの種は、最高55%にも達する相続税です。シンガポールでは日本にはない特殊な金融商品が多く、一部の富裕層に向けて販売されています。例えば、子供などの被相続人をシンガポールに住まわせ、1億円の保険商品を買って子供に相続させると、まったく相続税がかからずに資産を遺すことができるのです」  フロー、ストックともに、日本の富裕層にとってシンガポールは“ヘブン”のようだ。 <日本とシンガポールの税金の違い> ●課税所得1億円の場合 日本…5105万円(個人所得税、住民税、復興特別税) シンガポール…1810万円(1シンガポールドル=87.78円で計算) 【ヘンリー石田氏】 シンガポール在住の国際税理士。会計事務所ランキング世界8位のBaker Tilly Groupの一員であるBTJ税理士法人のシンガポール事務所駐在パートナー就任 取材・文・撮影/藤村はるな 横山薫(本誌)
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“与沢翼”のカラクリを白日の下にさらす

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