アニメ『聖闘士星矢 黄金魂』スタッフが語る“星矢愛” 少年の頃の熱き魂よ再び!

 1985年、『週刊少年ジャンプ』で連載開始後、少年たちの間で爆発的な人気を誇った『聖闘士星矢』(原作:車田正美)。連載終了から25年経った今も世界中に熱狂的なファンを持ち、少年漫画の名作として君臨している。

 今年4月には『聖闘士星矢』生誕30周年の幕開けを記念し、作品中で高い人気を誇る「黄金聖闘士」を主人公に据えたスピンオフ『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』がバンダイチャンネルを始めとする各サイトで配信スタート。9月には早くも全世界で5000万PVを突破し、その勢いは止まることを知らない。

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『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』

原作の中でもカリスマ的人気を誇る黄金聖闘士を主人公にしたスピンオフが全世界を席巻中

 そんな「黄金魂」も9月26日、いよいよ最終話を迎える。そこで、本作のシリーズ構成を務めた竹内利光氏&監督の古田丈司氏に、これまでのハイライトとともに、作品に込めた“星矢愛”とこだわりを語ってもらった。

『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』

(あらすじ)女神アテナ最大の敵である冥王ハーデスを倒すべく、冥界に立ち塞がる「嘆きの壁」を命と引き換えに破壊し、消滅したはずの黄金聖闘士が、遠いアスガルドの地で蘇った。主人公・獅子座アイオリアはその身に何が起きたのかわからぬまま、アスガルドでの戦いに身を投じることになるが……。

――『聖闘士星矢』原作終了から25年となりますが、お二人自身は「星矢」ブームをリアルタイムで接していた世代ですね。

古田丈司(以下、古田):まさに僕が小学生の頃、『星矢』は人気絶頂期だったのでよく覚えていました。主人公のペガサス星矢は格好いいし、ドラゴン紫龍はいつも裸になるなと。アンドロメダ瞬がピンチになると兄のフェニックス一輝が来るとか。あと、蜥蜴座ミスティの「神よ、私は美しい」という場面は本当に衝撃的でした(笑)。あと乙女座シャカがすごく強くて、蟹座デスマスクが怖いとか。本当に素直に楽しんでいましたね。改めて見ても、シャカは技がえげつない。『神に近い男』と称されているのに亡者が出てきたりね。フィギュアの「聖闘士星矢大系」も持っていて、友達も違うのを持っていたので、戦わせて遊んでいましたね。ですから、『黄金魂』のお話をいただいた当初は浮かれ気味でした。でも、実際に考えていくとプレッシャーで……そんな中、脚本家の竹内さんに助けてくださいとお声がけしたんです。

『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』

竹内利光: 1969年、北海道出身。『みどりのくにのこえだちゃん』(2004)でデビューし、『ケロロ軍曹』(2008)などアニメ作品の脚本を中心に活躍している

竹内利光(以下、竹内):僕は『週刊少年ジャンプ』で連載していたのは知っていたのですが、「車田先生は何を始めたんだ」という衝撃のほうが大きかったですね。それまでは学ランと木刀で戦っている漫画のイメージが強かったので。ただ、家族を含めて周りにも星矢ファンがたくさんいました。お話をいただいて当初は「ビッグタイトルが来たから頑張ろう」と思いましたが、いざ打ち合わせが始まり、世の中の星矢ファンの反響などを見ていると、思った以上のプレッシャーを感じました。ファンそれぞれの「星矢像」があって、それをどうやってすり合わせていくか苦心しました。

古田:配信前から、ツイッターでブラジルなど海外の人からもコメントが来たりして、期待の大きさを感じましたね。世界中にファンがいる作品ですから。

――今回の「黄金魂」は原作で死んだはずの黄金聖闘士が、もといた戦場から遠く離れた「アスガルド」の地で復活するところから始まります。彼らを描くにあたって、心がけた点はなんでしょうか?

古田:車田先生と車田プロダクションからいくつかご提案がありましたので、それを骨子として竹内さんとご相談しながら考えてきました。本作はそもそも、黄金聖闘士のカッコいいところを見せたいというのが出発点なので、全員それぞれの男気を新たに描くことに注力しました。本作は獅子座アイオリアが主人公ですが、原作であまり活躍できなかった牡牛座と、蟹座と魚座をなんとかしてあげなければという使命感もありましたね。

竹内:まあ牡牛座はもともと格好いいので、ちょっと変えてあげなきゃいけないくらいな感じでしたけどね。

古田:そこで牡牛座には、同系統のパワー系の相手をぶつけました。拳と拳でぶつかり合えば、自然に彼の格好よさが出るので。また、悪人キャラだった蟹座は、原作とはまったく違う側面が描かれています。

竹内:性根を入れ替えたというよりは、気まぐれに善意的な行動をする程度に描いたつもりですが、割と正義の味方になってしまいましたかね?。

――ストーリー展開と構成においては?

古田:今回一番大きいのは、これまで聖闘士を総べていた女神アテナがあの場にいないこと。それでも女神の為に動く人もいれば、自由に動く人もいる。その足並みが中々揃わない感じを、各黄金聖闘士ごとに描きました。

竹内:聖闘士って女神のために戦うと言いつつ、よくよく見るとムチャクチャじゃないですか、特にこの黄金聖闘士12人は個人個人に強い信念があるので、やはり女神という軸がないとさらにバラバラになるのは目に見えているので、最初は射手座アイオロスの声に導かれる流れになりました。人によっては、もともとの戦場だったサンクチュアリに帰る人もいたでしょうし。

古田:射手座が止めなきゃ、アイオリアも帰ったでしょう。牡牛座なんて、いの一番に帰ったでしょうね。構成の部分では、車田先生や車田プロダクションからのご意見を頂きながらこれまでのストーリーで不明な点や細かい設定については原作か『バンダイチャンネル』で配信しているTVシリーズを見てもらえればいいやという感覚で作りました。その代り、ドラマはちゃんと入れようと。

『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』

女神アテナのもとに戻ろうとするアイオリアだったが、兄である射手座アイオロスの啓示に導かれる

竹内:打ち合わせでも、皆それぞれ細かいこだわりがありましたけど、全部反映することはできませんからね。そうすることで結局、敷居がそこそこ高くなったんじゃないかなと思うんですが、どうなんですかね?

古田:第1~6話までは説明に終始してしまった感じがあるので、そこはもっとうまくやりたかったかなという反省はあります。ただ、第7話以降は今まで見ていなくてもなんとなく分かるはずです。

――キャラクター同士の新たな関係性も描かれていましたね。

古田:組み合わせは悩みました。アイオリアと牡羊座ムウを組み合わせた方がいいのかとか、でもムウは合流するけどきっと離れるだろうとか。天秤座童虎とアルデバランは意外とハマりましたね。

竹内:黄金聖闘士は年齢別に一番若い組と中間組、年長組の三種類がいて、最初は蟹座デスマスク、山羊座シュラ、魚座アフロディーテの中間組が街でトリオみたいな感じでやっていく案もありました。でも結果的に蟹座と魚座のコンビが一番面白くなりましたね。

『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』

古田丈司: 1981年1月17日、岐阜県出身。アニメ演出家。『マンガ家さんとアシスタントさんと』(2014)で初監督を務めた

古田:山羊座シュラの扱いが難しかったんですよね。山羊座は生前、アイオリアの兄である射手座アイオロスを逆賊として粛清した張本人ですが、それに関するアイオリアとの絡みはこれまで意外と描かれていない。ハーデス編のアニメOVAでは一瞬だけ二人が言葉を交わす場面があったけれど、シュラがアイオロスについて言いかけたとき、アイオリアが制止してしまった。ファンとしてはもっと聞きたかったのに(笑)。その辺の気になる部分を詰め込もうと。嘆きの壁の時も、アイオロスとアイオリアがあまりしゃべらずに終わってしまったので、そこも触れるようにしました。

竹内:「嘆きの壁」で黄金12人が一旦打ち解け、散っていったその後を今回描くわけですが、実際にあの短い時間で彼らが一つになるわけがなく、あれはいわば奇跡だった。だから、アイオリアとシュラが和解する場面は貴重です。今回、敵側についた水瓶座カミュについては、本当はもう少しいろいろと皆、描きたかったんですよ。ただ単に敵に回ったんじゃなくて、彼の中にはすべてを救いたい気持ちや、もっと複雑な思いもあったのですが……単に尺が足りなくて描ききれませんでしたね。

古田:とても魅力的な世界観を13話に凝縮せざるをえない葛藤もありつつ。今回は黄金聖闘士12人に対し敵が7人なので、どうしても誰かが敵側に回ってもらわないとパワーバランス的にもよろしくない。「氷系のキャラクターは裏切りやすい」という聖闘士星矢のセオリーにのっとってもらったのもあります(笑)。

竹内:東映アニメーションのプロデューサーに「26話になったりしませんかね」とか、「奇跡は起こらないでしょうか」と言ってみたりしましたが、「やりません」と非情な答えが返ってきました(笑)。まあ、もし奇跡的に続編をやるとなっても、今度はどうしようかと苦心しますね。

古田:新しい舞台を出すと、まずその説明だけで1話は食われちゃうから、なかなか難しいですね。

――今回、黄金聖闘士たちはパワーアップすると「神聖衣」を装着しますが、そのときの台詞が一人一人、違っている点にもこだわりを感じます。

『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』

今作では、非常時に小宇宙を燃やすことでこれまでの聖衣がバージョンアップされ「神聖衣」をまとうことが出来る

竹内:アイオリア、アイオロスは星矢と同じく「燃え上がれ」にして、他はどうせなら変えてみることにしたんです。でもだんだん、言葉が枯渇してきて……(笑)。魚座アフロディーテは割とすぐにあがったんですけどね。

古田:牡羊座ムウはだいぶ遅く決まったし、乙女座シャカ、天秤座童虎も結構後半まで迷いましたよね。12人もいると難しかったですね。

竹内:縛りを作ってしまったばかりに(笑)。

古田:オープニングでも、12人並んだときに全員違うポーズをとらせようとすると、もう引き出しがなくて……(笑)。最後はスタッフに任せました。

竹内:画面的には、5人くらいがちょうどいいんですよ。12分割はよく魅せるようにする事が難しい。

古田:その点、青銅聖闘士は5人でちょうどよかったんですよね。6:4の画面の時代はよかったけど、今の16:9だと隅のヤツが潰れていくので、均等に出来ないのがしんどくて。でも12人並ばないと黄金聖闘士っぽくない。意外と難しいんです。

――7月に発売されたアイオリアの「神聖衣」フィギュアは即日完売するほどの人気で、購買層もこれまでと比べて20代が増えたと聞いています。『星矢』の中心世代ではない層にも、訴求するものがあったのでしょうか?

古田:同じく派生作品の『聖闘士星矢Ω』のつながりで興味を持ってもらえたのかもしれません。今作ではセリフ回しなどで昭和感は出ていますが、画面の作りも割と今風に寄せてあるので、その辺に食いついてくれたのかと思います。

――原作では、昭和を通り越して時代劇風に感じられる場面もありますね。

古田:それが『星矢』の魅力でもありますよね。竹内さんには最初に、時代劇とか歌舞伎のノリなのでよろしくお願いしますとお伝えしました。最初の方のバトルもちょっと、台詞のぶつかり合いがなかったので、第2話、第3話当たりからちょっと足してもらったんですよね。

竹内:時代劇と言われて、すとんと腑に落ちました。そうでないと、聖闘士星矢によくある「~せぬのだ!」などといった台詞はなかなか脚本に描けない。また、そうした口上を最後まで言わせないくらい怒っている場面も合体させました。牡羊座ムウと神闘士ファフナーの対戦シーンなどですね。

古田:ファフナーを演じてくれた伊藤健太郎さんも、ボコボコにやられるのを楽しそうに演じてくれましたね。音響監督の本田さんもノリノリでした。

――天秤座の童虎が聖衣を着たまま酒場で飲むシーンなど、ツッコミどころを入れてくるのも今風かもしれないですね。

古田:あれは聖衣を着たほうと、着ないほうとどっちがおいしいか考えた末に、着たほうを採用しました(笑)。

竹内:その辺のさじ加減は、打ち合わせでも話し合いましたね。最初から古田監督が、せっかくなので黄金聖闘士の私服や日常も描きたいと言っていたので、そこは確かに面白いと思いました。デスマスク周りの町の日常の出来事も、書いていて楽しかったですね。

古田:乙女座シャカはしゃべりすぎないようにしましょうとかね。第3話のデスマスクの台詞も好きですね。「俺たち黄金聖闘士の息の合わなさ加減は相変わらずだ」って、お前が言うのかよと(笑)。

古田:車田先生原作の『聖闘士星矢』というゆるぎない根底が存在していますが、『黄金魂』の中に車田先生ぽくないギャグシーンを入れたいと言うのはあったんですよね。コメディを。デスマスクのやり取りにせよ、童虎が酒場で酒を飲んでいるシーンにせよ、車田先生的じゃないものを仕込みつつ、星矢っぽく仕立てたいなというのはありました。

竹内:細かいギャグも入れましたが、「そういうのはいらないから」とどんどん却下されました(笑)。デスマスク周りでは、ちょこちょこ残っていますけどね。

古田:13話の中でやらなければいけないことが多すぎて、それを消化するので精一杯でしたから。

竹内:今回はオリジナルキャラをもっとやりたかったんですけど、圧倒的に時間がなかった。もっと時間をかければ、敵キャラもさらにカッコよく描けたかもしれないですね。

⇒次回「主人公・獅子座アイオリア以外の黄金聖闘士の魅力について語る」

(『聖闘士星矢 黄金魂 Soul of Gold』は全世界5000万PV突破を記念し、通常無料配信の第1話に加え、第2話~第11話を9月19日0:00~9月25日23:59までの間、無料配信中。急げ! 詳しくはhttp://saintseiya-gold.com/index.htmlまで)

<インタビュー:中野 龍/構成:安英玉(本誌)>

聖闘士星矢 黄金魂 -soul of gold- 3

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