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新人ホステス・綾は大学4年生――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。

連続投資小説『おかねのかみさま』23回めです。ひゅー(°3°)
今回の原稿は六本木SLOW PLAYで書きました。

※⇒前回「グラグラと揺れながら」

〈登場人物紹介〉
健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる
神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い
死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気
美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる
美熟女(熟) 銀座の高級クラブ「サーティンスフロア」のママ。

〈第23回 心が痛いよね〉
「………」
「………」

「あの………」
「ハイ」

「ご注文は…なにが…よろしいでしょう…」

「ス…」

「す…」

「スナギモ…」
「すなぎも…」
「ハイ……」

「すなぎもで…いらっしゃいますね…」
「ハイ…」

「タレと……タレと塩が…ございます…」

「シオデ…」

「塩ですね…」

「ハイ…」

「ほかにご注文は…」

「カンガエトク」

「かしこまりました…」

「アリガト」
——–
—–

2週間後

—–
——–
銀座サーティーンスフロア 23:07

「いらっしゃいませー♡」

「ひさしぶり」

「東宮さん!ほんとおひさしぶりねー!今日はおひとり?」
「うん。いま接待会食おわったんだ。おじいちゃんだったから早めに終わった」
「うれしい♡今日から入った新人さんいるからあとで連れてくるわね」
「ありがとう」
「ちょっとまっててね」

—-

「こんばんわー♡」

「こんばんは。若いなー。大学生?」

「はい!でももうすぐ社会人です!」

「お、就職決まったんだ。おめでとう。名前は?」

「あやです!」

「あやちゃんか。東宮です」

「なんかかっこいい名前ですね!」

「ありがとう」

「水割りでよろしかったですか?」

「いや、ソーダで割ってくれるかな」

「はい!」

ぐるぐるぐるぐるーのぐーるぐるーーー

「デキました!」

「ありがとう。綾ちゃんは大学で何を勉強してたの?」

「経済学です!でも、何に役立つのかわかんなかったから、結局全部忘れちゃいました…」

「経済学かー。俺も昔やったなー。でもいま考えるとずいぶん古い方法だからね。確かに役立つものは少ないかもね」

「そうなんですか?」

「うん。ウチみたいな不動産の場合は土地の仕入れとか建築資材の仕入れでちょっと関係あるかなーと思うけど、結局は仕事はじめてから覚えたことばっかりだからね」

「東宮さん、不動産のお仕事してらっしゃるんですか?」

「東宮さんはね、マンションいーーーーーぱい売ってるの」

「マンション?すごーい」

「いや、マンションっていってもワンルームばっかりだよ。投資用の」

「とうしよう?あの、モクレンとかツツジとかビワの?」

「いや、それは双子葉植物。投資用っていうのは、自分で住むために買うマンションじゃなくて、いろんなヒトが自分で買ったマンションを誰かに貸してお家賃をもらうためのマンションっていう意味だよ」

「自分で住まないんだ!」

「そう。だいたいの人は銀行でお金を借りて、ウチでマンションを買ってお家賃をもらってそこから諸経費を払ったあとに毎月銀行に返済をする。そうすると大体手元に少しはお金が残るから、ローンを払い終えたときにはちょっとずつ貯めたお金と古くなったマンションが残るっていうわけ」

「ほんとだ。マンションも残ってる。しかもそっからもお家賃は入り続けるんですね」

「そう。あたまいいね。だから場所が良ければ古くなってもずっとお家賃が入り続けるんだよね」

「すごいですね。あたし、大家さんになってお家賃もらうのって一千万円とか払える人だけだと思ってました」

「確かにお金をたくさん持ってる会社とか富裕層は一棟まるごと買ったりするけどね。ウチの場合はもっと原始的というか力技で、2000人の電話部隊が機械みたいに電話かけまくるんだ」

「2000人!?」

「うん。なんかね、そういうことするともちろんたまにマンション売れるんだけど、やっぱりなんていうか、心が痛いよね。情弱騙すのって」

「でも!すごいじゃないですか!わたしいまけっこう遠くに住んでるからどっか近くのワンルームに住みたいなー」

「あら、綾ちゃん買ってもらえばいいじゃなーい♡」

「ほんとにー!?」

「買わない買わない」

「えー♡」

「そのうちね♡そうそう、もうひとり新人がいるんだけど、ご一緒させてもらっていいかしら?」

「どうぞ」

「美琴ちゃん呼んでくれる?」

「カシコマリマシタ」

次号へつづく

【大川弘一(おおかわ・こういち)】
1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。

Twitterアカウント
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