“ステロイド疑惑”とWWEバッシング――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第118回
それは単なる偶然だったのか、それとも狙いすました政治的バッシングだったのか、WWEが契約選手に対してドーピング検査をおこなった直後、ネットワークTVのトークショー番組“エンターテインメント・トゥナイト”(CBS)と“インサイド・エディション”(CBS系シンディケーション)がWWEの“ステロイド疑惑”の特集を組んだ。
ザホリアン医師の“ステロイド裁判”ではロディ・パイパーをはじめとする現役選手数人が証言台に立ち、“過去”のステロイドの使用を認めた。弁護側は、ハルク・ホーガンの自宅やWWE本社タイタン・タワーへのフェデックス速達便の伝票(領収書)、FAXのコピーなどをステロイドの発送先の証拠として提出したが、裁判ではこれらの証拠に関する弁論はおこなわれず、ホーガンもビンスも証人としての出廷をまぬがれた。
その後、ホーガンは人気トークショー“アーセニオ・ホール・ショー”(シンディケーション番組=パラマウント・テレビ製作)に出演し「過去に3回だけステロイド注射を打った」とコメント。それらがすべて「ケガの治療目的だった」ことを強調したが、疑惑は残った。
TVメディアは、ザホリアン医師の“ステロイド裁判”では明らかにされなかったスキャンダラスな部分にメスを入れようとしていた。それは子どもファンのヒーローであるホーガンが違法薬物のステロイドを常用していたかどうかの一点だった。
この連載の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
この記者は、他にもこんな記事を書いています