ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード09=パット・パターソンの苦悩――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第162回
オシェー検事は、1989年10月の日付のもう1枚のメモを見せた。
――これも社内メモですが、1989年9月から翌10月にかけてあなたとリンダ・マクマホンが“ザホリアン医師との関係”について相談している。
「そういう事実はありません」
――この社内メモには“当社とザホリアン医師の関係について”とはっきり書いてありますよ。
「まったく記憶にございません」
――あなたはこの社内メモを読んだあと、ザホリアン医師に電話をかけ「キミのことを警察が調べている。気をつけたほうがいい」と注意した。この件について、あなたは4月の大陪審でも認めている。ちゃんと話してくださいね。
「ザホリアン医師に『気をつけろ』と伝えたのはわたしの判断です。ビンスからの命令ではありません」
――あなたはザホリアン医師に「いったん電話を切り、外の公衆電話からコールバックしてくれ」と頼んだ。それはどうしてですか?
「わかりません」
――あなたは大陪審(予審)でいまと同じ質問を受けたさい、「(電話を)録音されているとまずいから」と答えました。記憶にありませんか。あなたはこの電話でザホリアン医師に「WWE関係の書類をすべて破棄してくれ」と頼んだのでは?
「会話の内容はおぼえていません」
弁護側のジェリー・マクデビットWWE顧問弁護士による反対尋問は、検察側の“質問攻撃”によりダメージを受けたパターソンの人格を擁護する内容になっていた。マクデビット弁護士はパターソンを「プロレスしか知らない働き者」と分析した。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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