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上場前夜の倦怠感――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。 『おかねのかみさま』64回めです。 本日はトランプ会見を見ながら書いてます。 ※⇒前回「ダメ」 〈登場人物紹介〉 健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる 神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い 死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気 美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる ママ(マ) 蒲田のスナック「座礁」のママ。直球な物言いが信条 杉ちゃん(杉) ITベンチャー社長。ヒットアプリ「アリファン」を運営 〈第64回 気づきましたか〉 蒲田 スナック座礁 「でもねけんたくん、ありきたりな言葉だけども、はじめはみんなそんなもんよ。あたしだって言えた柄じゃないけど、このお店を始める前は前しかみてなかったもの」 「前…前だけ見てちゃいけないんですか?」 「んー、そうねぇ。前見るのは後ろ向きなのよりマシだけど、誰かのためではないのよね。だからお客さんに気分良くすごしてもらうためには、目の前を見るよりもちょっと先の未来を予想し続けるほうがいいかな」 「ちょっと先の…未来…」 「そう。長くやってるとわかるようになるもの。だからまだわかんなくても大丈夫。死神さんが言いたかったのはそういうことじゃないかしら…」 「カンジロですね…」 「そうね」 「僕…あしたからやってみます」 「がんばってね」 「ママさん…僕…カラオケ歌ってもいいですか?」 「ううん、ダメ」 「すいません…」 ——— —- – 1週間後 アリファンカンパニー 会議室 役員A「ということで、上場に向けての懸案事項もすっかり片付きまして、あとは当日を待つばかりとなりました。社長」 「ん? あぁ。うん。よかったですね」 A「よかったですねって、ずいぶん他人事じゃないですか」 「あーすごくよかった。感極まってます」 A「……」
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ところで、当日はみんなどうするの?
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