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経済誌記者の嗅覚――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。

『おかねのかみさま』61回めです。

年末ですね。
忘年会2次会でウェイウェイ賑わう六本木SLOW PLAYで書いています。

※⇒前回「ハンバーガー」


〈登場人物紹介〉
健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる
神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い
死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気
美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる
美熟女(熟) 美琴が働く銀座の高級クラブ「サーティンスフロア」のママ
杉ちゃん(杉) ITベンチャー社長。ヒットアプリ「アリファン」を運営
沼貝(沼) 杉ちゃんの先輩ベンチャー経営者で株主。脅迫事件の対処に勇躍
薄井(薄) 「アリファン」創業メンバー。アリンコの著作権に3億円要求

〈第61回 画期的なもの〉

午後 久里浜 美琴宅

「そしたら死神さんが、僕にこう言ってくれたんです」

「ケンタ。イイモンミセテヤル」

「なにそれ」

「僕も一瞬わからなかったんですが、どうやら銀座で一緒に働くことで、僕が見たことない景色を見せてくれるという意味らしく、その場にいた全員が一斉に盛り上がって、そのまま全員で居酒屋に辞表を出しに行ったんです…」

「…」

「店長すごく困ってましたけど、僕がいなくてもなんとかなるのは僕がいちばんよくわかってますし、こうなってしまった以上、僕もあとには引けないという気持ちがありますので、もしよかったら、ぜひ、どうか、なにとぞ、お店で働かせていただけませんでしょうか」

「わかりました」

「!!!ありがとうごじゃいます!!!」

「ちがうの。話の内容はわかりましたって意味。働いてもらうことは構わないんだけど、約束をしてほしいの」

「はい!!!」

「まずはじめに、あなたがあとに引けないかどうか、それと、世界を広げたいかどうか、それはお客さんにとってひとつも関係ないの。お客さんにとって大事なのは気分の良さ。そこにあなたが貢献できるとしたら、気配を消しながら次々と小さな問題を解決する。それだけなの」

「はい…」

「たしかにいろんな世界の素敵なお客さんがいらっしゃるし、もしその中の誰かをあなたが知ってたとしても、その方はあなたのことを知らないの。つまり、あなたの仕事は『なんでもしまぁす!』って言いながらでしゃばることじゃなくて、必要なときに気づいたらそこにいる。ってくらいの配慮なの」

「配慮…」

「ハンバーガー、おいしい?」

「は、はい!すごくおいしいです!」

「よかった。高いお金を払って来てくれるお客さんはみんなニコニコしながらいなくなるから。くれぐれも、出過ぎないようにね」

「はい!え、えっと」

「もし空いてたら今日から研修にはいってください」

「はい!!!!!」

同時刻 久里浜 美琴宅

「ってことは、いまごろそのけんたくんは銀座で面接受けてるってこと?」

「ソウネ」

「もし採用になったらこれから働くってこと?」

「ソウネ」

「いつから?」

「ンー、キョウ?」

「そうなの?」

「ワカンナイ」

「じゃあ、その、キタさんみたいな風貌の大学生がお店にひとり増えてるってことね」

「ソウネ」

「うーん。テンションが上がるんだか下がるんだかわかんない感じだけどまぁいっか。しにがみさんも出勤するんでしょ」

「モチロン」

「じゃあ相棒見たら行こっか」

「ウン」

———
——


右京「最善の策が常に正しいとは限りません。ですが一つだけ、確かなことがあります。この世に、命と引き換えになるものなど……ありません」
———
——


「はー」
「フカイワー」

「さ、行きましょう」
「ウン」


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同日 アリファンカンパニー 社長室

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