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前だけ見てちゃいけないんですか?――連続投資小説「おかねのかみさま」

みなさまこんにゃちは大川です。

『おかねのかみさま』63回めです。

今日は祇園のRIVERでポーカーしながら書いてます。

※⇒前回「カワシボ」


〈登場人物紹介〉
健太(健) 平凡な大学生。神様に師事しながら世界の仕組みを学んでいる
神様(神) お金の世界の法則と矛盾に精通。B級グルメへの造詣も深い
死神(死) 浮き沈みの激しくなった人間のそばに現れる。謙虚かつ無邪気
美琴(美) 普通の幸せに憧れるAラン女子大生。死神の出現に不安を募らせる
村田(村) 健太が師と崇めるノウサギ経済大学の先輩。元出版社勤務
ママ(マ) 蒲田のスナック「座礁」のママ。直球な物言いが信条
美熟女(熟) 美琴が働く銀座の高級クラブ「サーティンスフロア」のママ

〈第63回 ダメ〉

蒲田 スナック座礁

「まぁどっちにしてもあいつはいい奴だった」

「あら、過去形じゃないの」

「まぁな。あいつがなにかデカイことやってくれるかもしれないってどっかで楽しみにしてたんだけど、ああいうタイプは一度決まったことやり始めると、いつまでたってもそこにいちゃうことが多いからな」

「あー」

「どんな仕事でもそれなりに達成感を見出しちゃうタイプとか、10回に1回ホメられちゃうと舞い上がるやつとか、要するにやめ時がなくなっちまうんだ。だからこそ、自分では厳しい修行に耐えてるつもりでがんばってても、どんどん歳だけとっちまうんだよな」

「早く気づくといいわね。でも、修行が中途半端になるのもよくないか」

「まぁな。それでもまだきっかけはあるんだよ。つまんない日常のつまんない修行を重ねていきながら、劇的に変化が訪れるきっかけが。だけどそれにはふたつ問題がある」

「なぁに?」

「奴がそれに気づくか。それと、奴自身にツキがあるか」

「あーーーーーーー」

「あーーーーーーーーだろ。スルーしそうだろ」

「そうねぇ…修行中の世界を鵜呑みにしちゃう感じだものねぇ。だけど、世の中には本人の意志に関係なく巻き込まれていく人もいるわよね」

「ん。そうだな。俺はそういう奴こそが実は『ツキ』のあるやつだとおもってる」

「なるほどねぇ…」

同日 22:35 銀座 サーティーンスフロア

「ほんとに…もうしわけございません…」

「いやー、いいんだよ。だいじょぶ。俺も急に立ち上がっちゃったからさ」

「何か、お着替えをお持ちしますので、よろしければお着替えになりますか?」

「だーいじょぶだいじょぶ!カワシボで拭いてたらなんとかなるって!」

「ほんとにもうしわけございません…もうちょっとおしぼりお持ちしますね。おねがいしまーす!おしぼりたくさんもってきて!」

「コチラデ」

「おっありがとう」

「おしぼり!たくさん!お持ちしました!!!」

「いや、もうだいじょうぶ」
「モウダイジョウブ」

「ちょっとまってね。なにか、おひざ掛けをお持ちしますね」

「いーのいーの。ほっときゃ乾くから」
「コチラデ」

「お。わるいねぇ。気が利くねぇ」

「イエ」

「さ、じゃあー飲み直そうか。なんか気ぃつかってもらってわるいね。だいじょぶだから」

「ほんとにもうしわけございません」

「ペコリ」

「すいません!!!ひざ掛け!こちら!お持ちしました!!!!」

「いや、もうだいじょうぶだから」

「ダカラ」

「す…すいません…」

同日 01:10 蒲田 スナック座礁

カランコロンカラーン

「…こんばんわ…」

「あれ!けんたくん。もうみんな帰っちゃったわよ。もうお店しめるとこ」

「そうですか…すいません…」

「さっきまで村田さんいたから呼んでみようか?まだ近くにいるかもしれない」

「いや、いいんです。きょうは1杯だけいただいたら帰ります…」

「そうお?じゃあこの鏡月、好きなように飲んでね。」

「ありがとうございます…」

トクトクトクトクトクトクトクトクトク

「で、銀座いってきたんでしょ。どうだった?」

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「はい…」

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