恋愛・結婚

カネ持ち男が陥る「お前はオレのカネ目当て」理論の傲慢

「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは自らを饒舌に語るのか』(青土社)、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)などの著作で「性を商品化する」女性たちの内面を活写し注目されている文筆家の鈴木涼美が、「おじさん」をテーマに日刊SPA!で連載する「おじさんメモリアル」第21回!

おじさんメモリアル【第21回 信じなさい、そうすれば救われる】

 横浜で2つ目に勤めたキャバクラは店長がタトゥーだらけのデブマッチョだったことを除けば、嬢たちも客層もほどよくチャラくてほどよくリッチで文句のつけどころのない居心地の良い店だった。で、デブマッチョのさらに上にオーナーとかジャンボさんとか呼ばれている男の人がいて、その人はたまに友人や接待相手を連れて店に飲みに来ることがあった。

 私が光ちゃんとよばれるオジサンと仲良くなったのも、そのオーナーを介してであった。オーナーと光ちゃんは同い年で仲がよく、同じように関内近辺で飲食店を経営している仲間のような関係で、ちょくちょく一緒に飲みに行ったりお互いの店で飲んだりしているようだった。今思えば2人とも随分若くして手広く成功していたのだが、その時19か20歳くらいだった私にとって34歳の彼らは十分なオヤジだった。

 光ちゃんは関内に落ち着いた雰囲気のキャバクラ1軒、大きめのホストクラブ1軒と、あとはおしゃれバーなども経営していて、結構羽振りがよく、横浜駅のほど近くの高級マンションに大きな部屋を構えていた。何が刺さったのか知らないが、私は店にきた光ちゃんに気に入られてその場で指名をもらい、その後店に来た時も指名してもらう約束をした。光ちゃんは若干デブで見た目としてはホリエモンに若干西城秀樹の要素を混ぜたような見た目であったが、ノリがよくタクシー代も弾んでくれたので私もまた彼を気に入った。

 3回目くらいに彼とオーナーが連れ立って店に来た後、私たちは店が終わった後にサパークラブに遊びに行き、当時まだまだ血気盛んな尻軽キャバ嬢だった私はそのまま光ちゃんのマンションに泊まった。ベッド横にウォーターサーバーがあったり、大きなソファと超大型テレビがあったりと何かと私好みの家で、翌朝私たちは『バッドボーイズ2バッド』の新作を見ながらなんだかちょっと付き合うことになった。

⇒この続きは連載をまとめた単行本「おじさんメモリアル」で

【鈴木涼美(すずき・すずみ)】
83年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。09年、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)発売中。現在は日経新聞を退社し、執筆業を中心に活動。幻冬舎plusにて「愛と子宮が混乱中 夜のオネエサンの母娘論」を連載中。LINEブログはhttp://lineblog.me/suzukisuzumi/
(撮影/福本邦洋 イラスト/ただりえこ)

おじさんメモリアル

著者が出会った哀しき男たちの欲望とニッポンの20年
日刊SPA!の連載を単行本化


「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか

慶応大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修了。本書がデビュー作。

身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論

「お乳は生きるための筋肉」と語る夜のおねえさんの超恋愛論





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