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小池新党は都政を変えるか? 100万ユーザーの政治サイトを主宰、“人を巻き込む力”は群を抜いている――武蔵野市・鈴木邦和候補

政治を志す原点となった復興支援

 平成元年(1989年)に神奈川県に生まれた鈴木は、エンジニアの父親の仕事の関係で、関東地方を転々としながら育った。武蔵野市は父親が生まれ育った土地だ。  県立前橋高等学校時代は将棋に熱中し、全国大会に3度出場した。東京大学に入学したのも、最強と謳われる東大将棋部への入部が目的だったが、あまりのレベルの高さに挫折を味わった。 「自分は挫折してしまいましたが、東大将棋部の人たちは、将棋に傾ける情熱がすごかった。自分の尊敬するエジソンも、空を飛ぶことに情熱を傾け続けた。そういう生き方をしたいですね」  その後、2011年に東日本大震災の復興支援団体「UT-Aid」を創設。本人曰く「お金はあるけど時間のない社会人と、お金はないけど時間のある学生を繋げる取り組み」で、東大出身の社会人から寄付を募り、それを元手に学生などが格安で被災地に行ける仕組みを作り、のべ2000名以上のボランティアスタッフを被災地に送った。  被災地で見たがれきの山や、復興の過程で生まれた不要な建物、そして、昼間からパチンコ屋に通う一部の被災者の姿を見て、行政の役割の大きさと問題点を感じたことが、政治に関心を持った原点だという。  2012年に、日本政治報道株式会社を起業し、有権者と政治家のコミュニケーションギャップを埋めるメディア「日本政治.com」を立ち上げた。100万人以上が利用するサイトに成長させ、マスメディアにも取り上げられたが、会社経営には苦労もあったようだ。 「ITを駆使した効果的な民意の吸い上げを実現しようとしましたが、自治体などに営業にいっても、前例がないと受け入れてもらえない。僕らのサービスは、20代から30代のユーザーが多く、選挙に行かない若い世代を、政策ベースで選挙に行かせようという、新しい有権者を掘り起こす活動だったため、反発を招いたのかもしれません」

たった一人で解説した「東京の論点50」

 1年前の鈴木には、自分が政治家になるつもりは全くなかった。1年生議員になっても、何もできないだろう、という印象を持っていたからだ。しかし、2016年7月に小池百合子都知事が誕生して以降、その考えは変わったという。 「自分がとくに共感したのは、議会側から情報公開を促進して、有権者に伝えるという小池知事のやり方です。それも、ただ情報公開するのではなく、わかりやすく伝えることを重視する。これは、自分が『日本政治.com』でやっていたことと同じ発想です。自分のアイディアを実現できるのではないか、と思いました」  鈴木の想いは、小池百合子東京都知事が塾長を務める「希望の塾」に入塾し、“同志”が増えるなかでより強くなった。希望の塾では、塾生による自主的な活動も行われており、鈴木自身も「東京の論点50」という勉強会を主宰した。  勉強会は、議員報酬、待機児童問題、そして、これから迎える人口減少など、東京都の抱える50の問題を、鈴木が一人で解説していくという内容で、2016年12月から2017年3月にかけて、都内の貸し会議室で月2~3回のペースで全10回行われた。参加費は場所代だけで、毎回50~70名ほどの参加者がいた。 「単純に嬉しかったんですよ。小池知事がきっかけで、政治に関心を持ってくれる人がこれだけいることが。こうした活動がきっかけで希望の塾で色々な人に出会ったんです。いま、鈴木邦和を応援するボランティアというような、フェイスブックのグループに100名ほどのメンバーがいるのですが、その多くは希望の塾で出会った人です」
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選挙戦を支える「希望の塾」出身者
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