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36歳バツイチ“ドク”のノー・ターニング・バック――フミ斎藤のプロレス読本#047【全日本gaijin編エピソード15】

 ハワイは、アメリカ本土と日本のちょうどまんなかにある。アメリカ合衆国のなかではあるけれど、やっぱり太平洋に浮かぶアイランドである。長いあいだディープサウスに住んでいたウィリアムスにとっては外国みたいなものだ。  もうメインランドでプロレスをやるつもりはないし、これからはホノルル―東京間の直行便に乗ってアメリカ本土からは反対のディレクションに向かうことだけを考えたい。  “ボディー・ブラスター・ジム”がなくなったと思ったら、マウイ島では“ゴールド・ジム”のフランチャイズを共同経営することになった。アマチュア・レスリングのコーチの仕事もはじめるし、ジムの経営が軌道に乗ってきたらプロレスラー養成スクールもやってみたい。  ウィリアムスは、これからずっと、たぶん死ぬまでここに住むつもりでハワイを選んだ。冬もののジャケットは全部、ルイジアナに捨ててきた。  オールジャパン・プロレスリングはベースボール・チームのような空間で、スタン・ハンセンがそうであったように、ウィリアムスもオールジャパンのリングで現役生活を終わらせようとしている。  アメリカのメジャーリーグ、たとえばWWEやWCWではありとあらゆる雑音と障害物のなかを泳ぎまわらなければならないし、レスリング以外のことでとことん神経をすり減らされる。  ウィリアムスはプロレスを団体競技のようにとらえていて、オールジャパンのユニフォームを着てオールジャパンでプレーするのはいちばん自分らしいと考えた。  いちばん大切なことは「ノー・ターニング・バックNo turning back(ふり返らないこと)」なのだという。リングから離れているあいだにいくらか白髪が増えたけれど、これは男性としての年輪のようなものだからあまり気にしていない。  夏になると、ストーミーちゃんとウィンダムくんがお父さんに会いにやって来る。ハワイにはハワイの暮らし方があって、ウィリアムスにはウィリアムス自身が望んだ新しい生活がある。
斎藤文彦

斎藤文彦

 子どもたちが父親のことをもっとよく理解するようになるには、いましばらく時間がかかるだろう。(つづく) ※文中敬称略 ※この連載は月~金で毎日更新されます 文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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