更新日:2017年08月30日 16:22
スポーツ

「ZERO1って、ゴキブリみてえだな」それでも大谷晋二郎がZERO1を続ける理由

 前回、『「今一番観るべきプロレス団体はZERO1」である3つの理由』でも書いたように、今のZERO1はまさにカオスだ。後楽園ホールはガラガラ。三又又三がリングに上がるも、えげつないブーイングの嵐。超一流の選手たちが、勿体なくて仕方がない。選手兼社長である大谷晋二郎は、この状況をどう見ているのか? インタビューを敢行した。
大谷晋二郎

選手兼社長である大谷晋二郎

――今のZERO1の状況をどう思われますか。 大谷晋二郎(以下、大谷):後楽園が満員にならないことがクローズアップされますが、こう言うと情けないんですけど、じゃあ満員だったときはあるのかと言うと、ないんです。橋本(真也)さんの時代にはありましたけど、それ以降になると、ない。 ――田中将斗選手、佐藤耕平選手、小幡優作選手、フリーだと鈴木秀樹選手も参戦されていて、レスラー陣はかなり豪華です。 大谷:選手たちは頑張りすぎるくらい、頑張っています。そこに比例してお客さんが呼べたらいいんですけど……。僕の責任も大きいと思います。頑張ってる選手たちに、満員の会場で試合をさせてあげるのが目標です。 ――選手や試合内容が良くても、人気は低迷してしまうものですか。 大谷:今の時代、それだけではないですね。一番は、うちは宣伝力が弱い。社員も少なくて、みんな一人何役もやっています。そこを言い訳にしちゃいけないとは思うんですけど。 ――三又又三さんが「GMになる」と意気込んでいますが。 大谷:4月の記者会見のときに、いきなり来たんですよね。どこでリリースを手にいれたのか分からないですけど。人を介して聞くと、彼もすごくプロレスが好きらしいんですよ。しかもZERO1に思い入れがあると。でも、アポなしでいきなり来て、「俺がGMをやる」と言われても、「じゃあ、お願いします」と言う人はいないじゃないですか。 ――三又さんへのブーイングはえげつないですよね。ブーイングの域を超えている。ファンの方はどう思っているのでしょうか。 大谷:もしかしたら、「三又が面白いことするんじゃないの?」っていう期待感を持っている人もいるかもしれないです。お客さんは揺らぐかもしれない。でも僕は揺らいじゃいけないと思うんですよね。三又さんは「大物レスラーをブッキングしている」って、何度も言うんですよ。だったら誰なのか教えてくれと。昔で言うビッグバン・ベーダーみたいなすごい選手であれば、それはうちにとっても願ってもないこと。全力で戦います。でも今、三又さんという人しか出て来ていないので。「TPG(※たけしプロレス軍団)」に確保しているという選手は誰なのか。そこを明らかにしないと、先には進めないですよね。 ――三又さんは「プロレスの教科書なんて、もういいんですよ、そんなもん」とおっしゃいました。 大谷:リングで言われたとき、久々にカチンときました。プロレスの教科書を信じてないんですよね。それはイコール、プロレスの神様をバカにしているということですから。 ――プロレスの神様とは? 大谷:姿を見たのは数回しかないんですよ。 ――姿があるんですか!? 大谷:ありますよ。背が高いイメージでしょ? そんなことないんですよ。僕よりちょっと低いくらい。 ――背が高いというイメージも、とくになかったです。 大谷:初めて姿を見たのは、2003年か2004年の火祭り前でした。「日本一熱い男になりたければ、日本一高い山に登れ」というお告げが降りてきたんですよ。それから数日後、富士山に登ったんです。天候がめちゃくちゃ悪くて、休憩所で休んでいても寒くて。このまま寝たら死ぬぞ、みたいな感じだったんです。「でも神様はいるはずだ」と思ったとき、天気が一瞬、良くなったんですよ。そこに現われたんですよね、神様が。それが初対面でしたね。 ――神様はなんておっしゃったんですか。 大谷:「よくここまで来たわね。あなたに1ページ目を捧げる」と。1ページ目というのは、「生涯、志高く、今が奇跡なり」という言葉です。それだけ告げると、神様はふっと消えたんです。ウソくさいでしょ? でもホントなんです。「今が奇跡なり」という言葉が、僕の中にスーッと入ってきたんですよね。 ――「今が奇跡」というと? 大谷:僕、子供の頃、虚弱体質で、お医者さんから「スポーツなんて一生ダメだよ」と言われてたんです。普通の一社会人として過ごせるように、これからリハビリしていきましょうね、と。でも僕は19歳でプロレスラーになりました。しかも憧れの新日本プロレスに入門して、IWGPのベルトも巻きました。昔の僕からしたら奇跡じゃないですか。今だって、試合を終えて控え室に無事に戻ってこられることも、奇跡です。だからこそ、いつダメになっても後悔しない自信があるんです。今日の試合で大怪我をして、もしかしたら試合が出来なくなるかもしれない。僕はそのとき、納得出来る自信があるんです。常に「今が奇跡」と思ってますから。
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新日本プロレスを辞めて、ZERO1に入団したのはなぜ?
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尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko

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■プロレスリングZERO1 ドリームシリーズ 真夏の後楽園決戦!
https://www.z-1.co.jp/event/detail_20170831.html#id184
【開催日】8月31日(木)
【開場時間】17時45分
【開始時間】18時30分
【会場】後楽園ホール
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