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プロレスラー鈴木秀樹に女性ライターがレスリングを教わる

キャッチ・アズ・キャッチ・キャン教室

鈴木秀樹のド迫力な実演に惚れ惚れ

 8月19日、大日本プロレス名古屋大会。BJW認定世界ストロングヘビー級王座タイトルマッチにて、王者・鈴木秀樹は挑戦者・橋本大地を下し、4度目の防衛に成功した。

 そこで思ったことがある。(一体、だれなら鈴木秀樹に勝てるんだ……?) 橋本が得意とする打撃を封じ込め、あくまで自身のレスリングスタイルに持っていく。前回の挑戦者・河上隆一のときもそうだった。鈴木のペースを、もはや誰も崩すことが出来ない。

 今年2月、鈴木にインタビューを行った。「山登りって、1本しか道がないわけじゃないですよね。違う道から行っても山は登れる。僕はその違う道から登っていきたい」――。鈴木秀樹の山登りを見てみたい。そう思った私は、鈴木が主催する「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン教室」に通うようになった。

予約が取れないレスリング教室


 キャッチ・アズ・キャッチ・キャン(以下、CACC)とは、鈴木がビル・ロビンソンから直伝されたレスリングのスタイル。教室は月1回、水道橋にある格闘技ジム「アカデミア・アーザ」で開催されている。日曜日の朝10:00から12:00。定員は11名。開催日が告知されると、1日、2日で定員に達してしまうから、受講者も告知を見逃さないよう必死だ。少人数にこだわる理由を、「自分の目が行き届く人数でやりたいから」と鈴木は言う。

 受講料は1回5000円。最初は「高すぎる……」と思ったが、教室での鈴木の実演を目にすると、「1万円でも行きたい!」という気になる。何気ない動きや技でも、ものすごい迫力! まるで鈴木の試合を至近距離で見ているかのようで、教室であることを忘れてひたすら惚れ惚れしてしまうのだ。

キャッチ・アズ・キャッチ・キャン教室

ピンクのTシャツが記者。Nさんと“女子会”中。

 参加者は格闘技やレスリング経験者が多いが、初心者や女性もいる。と言っても、女性は私とNさんの2人だけで、鈴木からは「女子会」と呼ばれている。私の練習相手はいつもNさん。初心者だが、鈴木曰く「初心者のほうが、先入観がないので上達が早い」とのこと。確かにNさんは、だれよりも飲み込みが早い。私も“初心者で先入観がない”はずなのだが、まるで上達しない……。でも楽しいからいいのだ。

ビル・ロビンソン流の指導法


 そう。この教室はかなり楽しい。鈴木は教え方が素晴らしく上手いため、徐々に出来るようになってくる。出来るようになってくると、楽しい。2月のインタビューで、鈴木はビル・ロビンソンの指導法について、こう話していた。

「レスリングの教え方が本当にすごいんですよ。『この技をやれ』と言われて失敗すると、『じゃあ、次こうやってやれ』って、ちょっと違う言い方をされるんです。また失敗しても、次これやれ、次これやれって、次々出てくるんですよ。それでハマるんですよね。ハマったあとにもう一回やってみろと言われると、出来てるんです」

 鈴木の指導法は、まさにこの通り。一人一人の特徴や癖を瞬時に見抜いているようで、彼に言われるがままに動きを変えていくと、いつの間にか出来ている。私たちは鈴木秀樹を通して、ビル・ロビンソンからレスリングを学んでいるのだ。

「逃げ方を教えて!」


 構えとステップの練習をしたあと、鈴木は必ず「なにをやりたいですか?」と聞く。あらかじめ決められた内容ではなく、受講者のリクエストによって教室は進んでいく。あるとき、Nさんが「上司をやっつける方法」をリクエストして笑いを誘ったが、鈴木はそれに対しても、「上司に寄り添うフリをして、腕を組み、そのまま肘を極めればいい」と指導し、Nさんはこれを完璧にマスター。後日、見事に上司をやっつけたそうだ。

 私の今回のリクエストは「逃げ方を教えて」。相手から抑え込まれた状態でどう逃げるかをマスターしたい。

キャッチ・アズ・キャッチ・キャン教室 まずは相手から押さえ込まれた状態。腕っ節の強いNさんに、完全にやられている記者……。

 しかし、「隙間を一瞬空けて、相手のワキに手を差し、腕を伸ばして距離を取り、相手の押さえる力を利用してひっくり返す」という鈴木の言葉通りにすると、Nさんがひっくり返った!

 形勢、逆転! 今度は記者が押さえ込む。押さえ込みのポイントとして、「必ずしもずっと押さえ込まなければいけないわけではない」と鈴木は言う。

「ある程度したら、相手を逃がせて、また転ばせて、押さえ込む。そうすると相手は疲れて、そのうちに動かなくなってくるんです。そこで仕留める。野生の動物とやってることは一緒です。動物って、相手が弱るまで待つじゃないですか。押さえ込み続けることが、自分にとってストレスがかかる状況であれば、やめていい。自分がいい状況で居続けるのが大事で、その選択肢は押さえ込みだけではないと思うんですよ。リラックスして押さえ込むのがベストですが、力を入れて押さえ込むくらいだったら、違う方法があるよね、ということです」

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CACCのプロセスは3ステップ

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◆「鈴木秀樹のキャッチ・アズ・キャッチ・キャン教室
日時: 11月5日(日) 12月3日(日)午前10時〜12時
会場:アカデミア・アーザ 3階マットフロア (http://www.academia-az.com/
申込み:11月分12月分

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