鉄道被災地を往く【写真ルポ】(後編)
―[鉄道被災地を往く]―
津波被害を受けた鉄道はいまだ復旧どころか復旧の見通しすら立っていないところも少なくない。中でも、山田線(宮古~釜石)、大船渡線(盛~気仙沼)、気仙沼線(気仙沼~柳津)、石巻線(石巻~女川)、仙石線(高城町~矢本)は津波の被害も深刻だった地域だ。1/31発売の週刊SPA!「被災鉄道復旧への遠い道のり」特集を取材した記者が、その道程を現地写真も交えて、お伝えしたい。
【前編】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/141500
一方、さらに壊滅的な様子だったのは気仙沼だ。
津波の濁流の中に、発生した火災による炎が流される様はいまだに記憶に残っている人も多いだろう。
気仙沼駅までは電車もすでに通っており、駅周辺の被害も少ない。しかし、漁港の中心部だった南気仙沼駅(気仙沼線)や、鹿折唐桑駅(大船渡線)の周辺の景色を見ると、まだまだ残された課題の大きさにため息をつかずにはいられない。
震災後間もない時期に訪れた頃に比べれば、路面の汚泥こそは片付けられた。しかし、まだ倒壊寸前の建物が多数残り、これらの解体だけでもかなりの時間と費用、労力を要するだろう。また、これらの解体で生じる瓦礫についても、「瓦礫引受反対」などの運動すら起こっているほどだ。放射能とは無関係とは思える地域の瓦礫処理を拒否する人々は、この景色を見てもなお拒否できるのだろうか? 「絆」という字は一体何だったのか?
しかし、そんな瓦礫の中を笑顔で通学する学生の姿や、津波に被災した地域の商店主が集まって屋台村が開かれていたり、津波で車が突っ込んだのに、すでにリフォームを終えて昨年夏には営業を開始した観光客向けの食堂(何かの撮影で訪れていたのか、タレントのさかなクンがいた!)など、住民の折れない気持ちも感じられた。
震災からもうすぐ一年が経とうとしている。しかしまだ地元住民にとっては復興のスタートラインに立ったばかりだ。「絆」という文字の真価が問われるのは、これからなのである。<取材・文・撮影/週刊SPA!編集部>
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