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鉄道被災地を往く【写真ルポ】

津波被害を受けた鉄道はいまだ復旧どころか復旧の見通しすら立っていないところも少なくない。中でも、山田線(宮古~釜石)、大船渡線(盛~気仙沼)、気仙沼線(気仙沼~柳津)、石巻線(石巻~女川)、仙石線(高城町~矢本)は津波の被害も深刻だった地域だ。1/31発売の週刊SPA!「被災鉄道復旧への遠い道のり」特集を取材した記者が、その道程を現地写真も交えて、お伝えしたい。 ※【写真】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=141611  仙石線の高城町~矢本間にある野蒜(のびる)駅と、大船渡線の気仙沼駅周辺を、鉄道復旧への道に横たわるさまざまな課題について取材すべく訪れてみた。被災地鉄道復旧への課題については本誌記事をご覧いただくとして、ここでは訪れた地域の様子について触れてみたい。  仙台駅周辺はすでにメディアでも報じられているように、震災復興で作業員なども集まっているせいか賑わいを見せている。取材当日にやや大きな地震もあったが、それでもホテルは満室、飲食店も満席の店も多かった。野蒜駅は、そんな仙台駅から仙石線で1時間ほどのところにある。現在は、高城町から矢本までが運行停止なので、松島海岸で振替のバスに乗り換える必要がある。  松島海岸までは震災の爪痕をあまり感じさせない風景が続く。バスに乗り換えてしばらくも民家が少ないせいもあって平穏を取り戻している感もある。が、東名(とうな)駅辺りから景色が一変した。野蒜駅の南側、奥松島としても知られた観光地が、何もない荒野になってしまっていた。  仙石線の復旧計画は取材中に発表された。現在より500m内陸に軌道を移設して復旧するという。しかし、当初は北側の山を超えたところに移設する計画だったという。 「野蒜地区には、幸いに浸水くらいで家屋を流されなかった住民もいて、そうした人は今もここで暮らし始めている。仙石線は住民にとって貴重な足なのに、山の向こうに移設したらここはどうなってしまうのか……。だから、なんとか500m移設で決着したのは良かった。でも、移設した路線が開通するまでの間、不便な振替輸送のバスしか足がないと思うと……」と語るのは、震災直前に高齢のため運転免許証を返納したという現地在住の男性だ。  我々が取材で伺ったときは、バスも時間通りに運行し、通勤時間帯ではなかったせいもあり、席にも余裕があったが通勤時間帯はそうも行かない。 「人数に限りがあるから、4台連なってきても乗れないこともある。となると、雨風を防ぐ施設も何もないところで何十分も待つことになってしまう……」という。 ⇒(後編) につづく https://nikkan-spa.jp/141605 気仙沼はさらに壊滅的な様子だった……
週刊SPA!2/7号(1/31発売)

表紙の人/ザ・クロマニヨンズ(甲本ヒロト・真島昌利)

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