日本一焼き魚がうまい居酒屋で復興を応援!【後編】
日本をつなげ!プロジェクト
~電気自動車で全国の「元気!」を突撃レポート~
第1回:宮城県気仙沼市『福よし』【後編】
東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県気仙沼市の居酒屋『福よし』。このお店、高名なグルメ評論家に「日本一焼き魚が美味い店」と言わしめる名店だった。私も2003年に取材に行って、自慢の囲炉裏で焼いたサンマを3本ばかり、ぺろりといただいたことがある。でも、以前の店は津波で壊滅。防潮堤の問題などもあり、町全体の復興計画はまだ闇の中、という状況ではあるのだが……このほど復活オープンするとの情報を聞きつけて、再訪を果たした。
⇒【前編】はこちら
◆炭火は煌々と炊かなきゃダメなんだ!
囲炉裏には約17kgの新しい灰を入れたという。真ん中で炭を炊き、串刺しにした魚を灰に刺して並べて焼く。炭の回りには水を張った受け皿があり、焼けた魚から垂れる油はここで集める仕組みになっている。受け皿の幅や深さは、大将自身が試行錯誤の末に完成させた『福よし』の真骨頂ともいえる囲炉裏なのだ。ただ、当然だけど、囲炉裏のカタチだけを真似しても『福よし』のような味にはならない。「10匹焼くのも1匹だけ焼くときも、炭はたっぷりおこして煌々と炊かなきゃダメ。だから商売で炭火を扱うのは難しい。でも、火があると心が和むでしょ。炭火のおかげでお客さんにとの会話も弾むんだ。あとは、一匹一匹の魚の太さや丸みを見ながら、炭火との距離や傾きを加減する。この魚をどう焼けば美味しいか判断する、動物的なカンが必要なんだよ」
飲食店は1階に店舗があるほうが有利なのはじゅうじゅう承知の上で「万が一の津波の力を逃がせるように」と、1階を駐車場にしたのも、大将の動物的なカンから生まれたアイデアだ。おかげで、2階の座敷の席からは気仙沼の港が一望できる。
以前の店は借家だったため、自治体から交付される予定の店舗再建の補助金は「建築費の消費税でまた国に返すんだ(笑)」って状況らしい。長年の馴染み客もたくさん被災してしまったので「前みたいには繁盛しないかも知れないね」と大将は言う。でも、奥さんや息子さんも一緒に、名店の再建に踏み出したうれしさが、話を聞いているだけでもひしひしと伝わってくる。
震災復興を応援するために、東北に旅しようって言われてるけど「どこに行けばいいのやら?」って人もいるだろう。そんな人は、まず、気仙沼へ行ってみるのがオススメだ。津波に襲われた町の再建はまだほど遠く、歪んだ建物などの取り壊しが進んでいる最中、という現状を目にすることができる。そしてなにより『福よし』の美味しい焼き魚と大将の笑顔との出会いを味わってくれ!
●『福よし』
住所:宮城県気仙沼市魚町2-5-7
TEL:0228-24-0284
【コラム】電気自動車ってどうなんだ?
仙台~東京を約9時間で走破!
気仙沼への旅で乗ったのは日産リーフ。JC08モードのカタログスペックでは一充電当たりの航続距離は200kmだが、真夏にエアコンかけて高速走行。おおむね100km弱ごとに急速充電を繰り返す必要があった。
帰り道、仙台から東京まで約400km。宮城野区の宮城日産本社店で急速充電したのを入れて、その度に東北道を下りながら充電回数は5回。12時20分から21時過ぎまで、およそ9時間でたどり着けた。 渋滞もなかったし、ガソリン車なら4時間程度の距離。倍以上の時間がかかるのは「やっぱり不便で疲れそう」と思うだろうけど、最初からそのつもり(10時間はかかるだろうと覚悟を決めて)で予定を組んでいたので「むしろスムーズ」と感じてしまった。なにより、EVでのロングドライブはガソリン車に比べて疲れない、というのが実感だ。詳細な走行&充電の様子は、日本EVクラブの公式サイトをチェック!(http://www.jevc.gr.jp/)
<文と写真/寄本好則(三軒茶屋ファクトリー)>
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