「ストーカーされてから女性とまともに話せません」トラウマをかかえる20代男性の悩み
【佐藤優のインテリジェンス人生相談】
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
◆ストーカーされてから女性とまともに話せません
ランド(ペンネーム) 会社員 男性 27歳
私は大学2年生の時、別れた彼女にストーカーされて、包丁を持たれて、腕を切られました。10針縫いました。それからまともに女性と話せなくなってしまいました。
今は営業の仕事をしていますが、元カノと同じ髪形の女性がいただけで、心臓がバクバクいってパニックになりそうです。それでも性欲はあります。エロ動画で処理する分には何ともないです。それを友達に話すと「慣れれば大丈夫」とキャバクラや合コンに連れていかれますが、女性と会話できないので、無駄な時間とお金を使っている気がして仕方ありません。私はどうやったらまともに女性と話して、お付き合いできる日を取り戻すことができるでしょうか?
◆佐藤優の回答
世の中には怖い人がいます。入江敦彦さんがこんなことを書いています。
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かつて親しくしていた生粋の京女がいた。(中略)その日はひどくアンニュイだった。かと思えば子どもみたいにはしゃいだり。変だなとは感じていた。彼女は不倫をしていたので、なにかあったのかな、とか。けれど言いたいことは、なんとしても言うのが京女。こちらからは尋ねなかった。
いまはなきフルーツパーラー〈八百文〉で待ち合わせ、円山公園でおばけ枝垂れの葉桜を眺め、池端から〈高台寺〉をめざして南へ抜け、音楽堂前まできたときだった。
「あんなあ、あれなにか知ったはる?」
彼女は道端の崩れかけたような阿弥陀堂と、その前にある猫の額ほどの空地に視線を投げた。そこにある五輪石塔は白河法皇の妾后であり、のちに平忠盛の後室となって清盛を生んだとされる白拍子(当時の遊女)の墓なのだと彼女は教えてくれた。〈祇園女御塚〉と呼ばれているのだと。
「よう知らんけど、ここ、崇らはるんやて。小石を拾ただけで死んだ人もいはるんやて」
そう咳くと、彼女はついと塚に寄って草叢から人さし指の爪ほどの砂利を摘み上げた。
ちょっと縁起悪いことせんとき! と声を荒げた私を振り返りもせず彼女は咳いた。
「もう、ええかげん死んでもらおかと思て」
なにも問いただせなかった。
(『怖いこわい京都』200~201頁)
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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