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大人の発達障害に悩む35歳「書類仕事がまったくできない」

―[大人の発達障害]―
 かつては未成年の問題だと思われてきた発達障害が、「大人の問題」として急速に認知され始めている。メディアでの露出も増え、自分や周りの人間に対して「実はそうなのかも」と思った人もいるのではないか。果たして「大人の発達障害」を抱える社会人たちの現状とはどんなものなのか。生きづらさを抱える大人たちの姿に迫った。 男性●大坪洋平さん(仮名・35歳)……都内の介護会社で働く既婚者。マジメな働きぶりで社内での評価も高いが、秘かに発達障害の特性に悩んでいたため精神科を受診した

書類がまったく作れない。それでも薬を飲んで改善

 介護福祉士として働く大坪さんは、ADHDにより仕事に支障が出た一人だ。 「身体介護は問題なくこなせるのですが、報告書などの書類仕事がまったくできません。デスクに向かっても別のことが頭に浮かんで集中できず、提出日に間に合わないんです。できたと思っても記入漏れや誤字などのミスがあり、再提出に。また、勤務年数を重ねるにつれて上司から期待の意味も含めて新人指導なども課せられるようになり、終わらない書類仕事の残業と休日出勤が増えていきました。そして、吐き気やめまい、過呼吸などが出てきたんです」  思い返してみると、彼は子供の頃から忘れ物や提出物の遅れが多く、話をまとめるのも苦手なため友達から「何を伝えたいのかわからない」と言われたことも多かった。悩んでいたある日、発達障害に関する記事を読み、自分もそうなのではないかと疑ったという。 「妻に相談したところ『発達障害の特性に当てはまる点はあるかもしれないけど、あなたのことを変と思ったことはないし、気にする必要はないんじゃない?』と言われました。でも、家庭では問題なくても仕事ではもうムリでした」  そして大坪さんは精神科を受診。結果、ADHDと二次障害による適応障害という診断を受けた。 「今は適応障害の治療を受けつつ、ADHDの薬であるストラテラを処方されています。最初の数週間は食欲不振や眠気といった副作用に悩まされたものの、徐々に頭の中がクリアになっていく感覚を実感し、嘘のように書類仕事に取り組めるようになりました。今までは『なんで仕事ができないのか』と思っていたけど、それが要領が悪いせいではなく障害のせいだったとわかったので、いい意味で割り切れるようになったかなと」  現在も薬を飲みつつ働く大坪さん。ADHDに関しては、薬で解決できる一例と言えるだろう。 ― 大人の発達障害 ―
―[大人の発達障害]―
発達障害グレーゾーン

徹底した当事者取材! 発達障害“ブーム"の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る

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