仕事

ゴールデンの人気ドラマも手がけた40代脚本家の悲鳴「ギャラは一本8万円、局の若手社員より地位は下」

管理職の名の下、残業代も支払われず限界まで働かされ、使い捨てにされる……。’08年に「名ばかり管理職」という言葉が生まれてから16年、空前の人手不足の今、多くの中年が職場で苛酷な労働に喘いでいる。その悲惨な現状を追い、日本特有の病理を探った!

若手から公開処刑を受けてメンタル不調に

テレビ業界・フリー脚本家(44歳)/年収490万円
中年社畜

写真はイメージです

「40代の脚本家なんて、局の若手社員より地位が低いよ」 ゴールデンタイムの人気ドラマを手がけながらも、こう嘆くのは20年以上フリー脚本家として活躍してきた橋本隆之さん(仮名・44歳)だ。 「昨春、某キー局で女子大生にフォーカスしたドラマの制作チームに参加しました。撮影現場を仕切るプロデューサーも29歳の女性と、若手が揃った8人体制でしたが、最初の本打ち(シナリオ会議)で『今ドキのコってこうですよね!』と積極的に意見したのがまずかった。 女性Dから『さっきから橋本さんが言ってる“今ドキのコ”の定義ってなんですか?』と論破口調で、きつく詰められたんです。周囲も『おじさんに何がわかんだよ』と冷ややかな視線を向けてくる。クリエイティブの世界では、40代は中年ではなく年寄りで完全に老害扱い。陰口を叩かれているのもわかっていましたが、顔を合わせないわけにもいかず、メンタル不調に陥りました。突然フラッシュバックが起こり、筆が止まるんです」

収入面でも割を食うことが多い

いわば世代間対立の餌食にされた格好だが、フリーランスゆえか、収入面でも割を食うことが多いという。 「地方局は『カツカツなもんで……』と、激安のギャラで仕事を依頼してくる。でも、年齢を考えると局との関係を悪くする勇気もなく、所属する作家団体の定める最低賃金が30分ドラマ一本で19万円なのに、半額以下の8万円で契約してしまった。先輩から『ギャラ相場が下がるからやめて』と叱られるし、自分の収入も減る一方。でも、どうすればよかったのか……」 華やかな業界で活躍するクリエイターでも、中年は安く買い叩かれている。 取材・文/週刊SPA!編集部
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