恋愛・結婚

男が「女からのセクハラ?」と感じた瞬間。「デブ童貞ってバカにすんな!」

―[セクハラ四季報]―
 日常に潜むセクハラ・パワハラ問題。TwitterなどのSNSで女性が「#MeToo」と声をあげる動きが広まっているなか、男性は肩身が狭くなりつつもある。その線引きは難しく、ちょっとしたひと言で訴えられてしまうのではないか……と不安になる。  一方で、仕事中に「これって逆セクハラでは?」と感じた経験がある男性も少なくないのでは。被害を受けているのは必ずしも女性だけとは限らないのだ。今回は、一般男性3人のケースを紹介しよう。 逆セクハラ

“さえない見た目”で童貞扱いしてくる女子高生

 都内の飲食店に勤務する今田信明さん(仮名・25歳)は、見た目が地味で肥満体型のせいか……アルバイトの女子高生A子からなにかと“童貞”扱いされるのだという。 「休憩時間になると、A子はしょっちゅう彼氏が変わることをよくバイト仲間に相談している。ぶっちゃけ、ただ自慢したいだけだと思うんですが」  とにかく大声で話すので、嫌でも耳に入ってくる。どうでもいい恋愛トークをなにげなく聞いていたところ、突然話を振ってきた。 「今田さんは、こういう場合どうしたらいいと思います? って分からないですよね。ごめんなさいっ(クスクス)」  こちらが返答する前にそう言って薄ら笑いを浮かべるA子。なぜ恋愛経験がないと決めつけられないといけないのか――自分がその女子高生を筆頭に、バイトの女のコたち数名の間で“デブ童貞”と呼ばれていることも知っている――今田さんは憤りを覚えたという。 「この間なんか『もしも彼女ができるなんて奇跡が起こったら、どんなデートしてみたいんですか?』なんて小馬鹿にされて……性体験しているのがそんなに偉いんですか? いくら年下の女子高生だからって、セクハラですよね?」  立場が上の人による「対価型セクハラ」ではないが、性的な発言で気分を害する「環境型セクハラ」にはあたるかもしれない。  腹わたが煮え繰りかえるほど悔しいし、引っぱたいてやりたいぐらいに腹が立つ……しかし、なぜ今田さんは何も言い返せないのか。 「じつは、本当に童貞なので……。彼女のせいで、前より余計に女性が怖くなってしまいました。このままでは彼女を作ることなんて夢のまた夢です」

体育会系気質な広告代理店で出世した女上司

 続いて、かつて広告代理店で働いていた西村浩志さん(仮名・28歳)が数年前に経験した事例。広告業界といえば、「#MeToo」でも告発が相次いだように、男社会や体育会系な気質など古い慣習が残っているとも言われている。そんななかで出世街道を突き進んだ上司の女性B子は、男まさりでかなり強引な仕事の進め方をするクセの強いタイプなんだとか。 「ある日、僕が見積書の料金を一桁少なく入力してしまった部分があって。ミスに気がついた時にはすでに決済は終了していて……冷や汗で背中がビチャビチャになりましたね。落ち込んで机でクヨクヨしていたら、同僚が慰めに来てくれたんです。本当にありがたいなと感謝していたら……その女上司にも声をかけられたんですよ」  彼女は、満面の笑みで近づいてきた。 「きっと励ましてくれるんだろうなと立ち上がったら……みんなの前で『男だろ!』って怒鳴られて、思いっきりケツを蹴られたんですよ!」 逆セクハラ 西村さんはなにが起こったのか理解できずにその場で呆然と立ち尽くした。 「男だって落ち込むことがあるし、いくら女だからって……蹴るなんて完全にパワハラじゃないですか。しかもみんなが見てる前で、ですよ?」  恥をかかされたようで泣きっ面に蜂状態の西村さん。家に帰り、痛むお尻を鏡で見てみたらしっかりと青アザになっていたそうだ。とはいえ、セクハラ・パワハラなどと騒げば、今後の仕事に悪影響を及ぼしかねない……そんな不安から我慢するほかなかったそうだ。
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漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。

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