恋愛・結婚

男が「女からのセクハラ?」と感じた瞬間。「デブ童貞ってバカにすんな!」

男性美術モデルに萌えポーズをリクエストするおばさんたち

 井上健二郎さん(仮名・26歳)は、劇団員のギャラだけでは生活できず、美術モデルのアルバイトをしている。ちなみに美術モデルとは、美大やカルチャーセンターの絵画教室、絵画サークルなどで、裸でジッとポーズをとる仕事なのだが……。 「この間、ある美術サークルに行ったら、いきなりおばさんたちに『壁ドンしているポーズして』『私はあごクイ』と次々にリクエストされて……とにかく、キャーキャーうるさいんですよ」  通常は、モデルが台の上で自由にポーズをとり、静かにデッサンするものだが。おばさんたちの行動は次第にエスカレートしていく。 「しかも『この間のモデルさんはお姫様抱っこしてくれた』とか言ってくるので、本当かな? と疑いつつも、しょうがないのでしましたよ……壁ドンもあごクイも。おばさんたちの機嫌を損ねて事務所に苦情なんて入れられたら困りますからね」 逆セクハラ 短時間で効率良く稼げる貴重なバイトを失うわけにはいかない井上さん。全裸で、おばさんひとりひとりに萌えポーズをするはめになってしまった。もはやモデルなのかなんなのか分からなかったという。 「おばさんたちは明らかに絵を描く気なんてない様子。そんな人たちに囲まれて、全裸で恥ずかしいポーズをするのはかなり屈辱的でした。美術モデルをやっているのは(売れない)劇団員やミュージシャンが多く、見た目が整った人が多いので。この美術サークルでは取っ替え引っ替え男性モデルを呼んでいるらしいです。出張ホストの代わりですかね?」  最後に井上さんは「早く役者だけで食っていけるようになりたい」と溜め息混じりに漏らした。  こうした日常に潜むセクハラやパワハラ。自分がいつ被害者になるか、加害者になるか分からない。決して他人事ではないのだ。常に相手の気持ちを考え、発言や行動をしたいものですね。<取材・文・イラスト/鈴木詩子> ― セクハラ四季報 ―
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。
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