音曲漫才から講談まで…道玄坂で「イロモノ」が寄席初心者をも魅了
こうして「色物」論(と、ここでは書ききれない森友学園の話)が終わったところで、第二部はいよいよ寄席がスタート!
最初に登場したのは、先ほどまで濃厚すぎるトークを繰り広げていたおしどりのお2人。マコさんがアコーディオンを奏でながら歌うと、ケンさんはそれに合わせてペンチを使い、針金をテーマに沿った形に変えていく。トランプ大統領、キム・ジョンウン総書記、ムン・ジェイン大統領など、昨今ニュースを騒がせている面々まで再現してしまう技量とリズム、そしてネタに絡んで飛び出す軽妙洒脱なギャグに圧倒。会場は大いに盛り上がった。
続いては、御歳82歳というギター漫談の大・大・大ベテラン、ペペ桜井師匠。当日は、会場であるLOFT9 Shibuyaの場所がわからないかもしれないから渋谷のハチ公前で待ち合わせすべく、おしどりのケンさんの携帯に到着時間がわかったら連絡をするはずだった師匠。しかし、なんと師匠は渋谷駅からLOFT9 Shibuyaまでの道のりを5回も人に訪ねながらお一人で歩いていらしてくれた。
色鮮やかなスーツに身を包み、ギターをつま弾きながら、哀愁に満ちたネタを投下していく。「まあ、こんなもんですよ……」と自虐気味に語る姿は、その味わい深さはさすがベテラン。「音楽家になりたかったんだけど、黙ってギターが弾けないんですよ」とうそぶく姿もカッコいい。自ら「絶滅危惧種」と語るギター漫談が終わると、客席の方々から「最高だな!」という声が聞こえる。
次なる演目は、林家楽一師匠による「紙切り」。一枚の紙と一梃の鋏を使って、お題のシルエットを切り抜いていく伝統芸能だが、観客のリクエストにもその場で対応するという機転とトークスキル、さらには時事ネタなどにも精通することが必要とされるが視覚的インパクトは絶大な芸だ。
当日の観客のリクエストは、「菅野完さんの横顔!」などの無茶ぶりにも応え、その再現度の高さに大きな歓声が挙がった。切り抜かれた紙は、緻密かつトライバルアートにも似た美しさ。「朝鮮半島」というお題に、板門店で握手するキム・ジョンウン総書記とムン・ジェイン大統領というタイムリーなネタで“切り”返すなど、最後まで見入ってしまった。
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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