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一代で1兆円企業を築いた男、ZOZOTOWN・前澤友作が語る「20年目の経営戦略」

「真逆」に進めば競争が生まれない

――「人がやらないことをする」が、基本的な前澤マインドなんですね。 前澤:僕は競争が嫌いで。だから、誰もやってないことをやるんです。そうすれば、競争にならないから。 ――どうやったら誰もやってないことを見つけられますか? 前澤:よく社員にアドバイスするのは、何かを考えるときに同時に真逆のことを考えて、あえて思考の振れ幅を増やすということ。みんなが12時の方向に向くと、多くの人はせいぜい1時とか11時の方向のことしか考えないんです。でも、そこで6時の方向も考えると、全体が考えられるんです。例えば、高校生が進路を考えたときに「大学に行く」とか「就職する」というのが12時なら、「浪人する」とか「海外留学する」が1時か11時。そこで、「すぐに学校をやめる」あるいは「そもそも就職しない」という選択が6時ですかね。

世界の大半の人は恐る恐る服を着ている

――「幕張手当(※5)」を導入したり、「週に3日しか出社しない」と公言されるなど、前澤さんは働き方に関するお考えも特徴的です。 前澤:最近は働くモードに入ってるので、もうちょっと来ています(笑)。週5日10時から16時くらいは会社にいますね。会社員の方とだいたいと一緒ですよ。 ――多くのサラリーマンはもう少しオフィスにいると思いますが……(笑)。会社にいないときは何を? 前澤:ずっとスマホで仕事しています。僕の仕事は指示やアイデアを出すことで、会議中心なのでパソコンはいらないんですよ。会社に来ない日はLINEグループで2~3件、同時に会議します。僕が何か言ったら、相手が返答するまでに1~2分はかかるので、その間に別の会議を進めます。うちの経営判断はめっちゃ早いですよ。その代り、少しうまくいかないとすぐやめちゃうことも多いですけどね。粘り弱い(笑)。 ――前澤さんは世界的なアートコレクター(※6)としても有名ですが、100億円を超える作品を購入する際も一瞬で? 前澤:直観で決めますね。今朝もニューヨークのオークションで出品されたモネのセーヌ川のシリーズが気になって、会社に来るまでの車の中で、電話でオークションに参加していました。結局、今回は寸前で入札するのをやめましたけど。 ――どんな作品に惹かれますか。 前澤:アートに限らず、だいたい僕が買うのは一点ものですね。作り手がいて、その人が作った感覚が伝わるものが好きなんです。だから、大量生産品より一点モノに惹かれます。 ――今日着てらっしゃるアロハシャツも一点モノですか? 前澤:これはプラダです。最近、アロハシャツが多いんですよ。 ――例のスクープ写真(※7)でも、アロハシャツを着てらっしゃいましたね。 前澤:あのマネジャー風の(笑)。 ――せっかくなので、この流れで伺ってしまいたいのですが、前澤さんはなぜそんなにモテるのでしょうか。 前澤:いやいや、モテないですよ!強いて言えば、怖い人だと思われがちで、実際に会ったときにイメージと違うと言われることは多いですね。 ――今日も実際お会いしてみて、とても穏やかな方なので驚きました。ちなみに素敵な女性を見かけたら、どうやってアプローチするんですか。 前澤:超ストレートですよ。僕は。LINEもたくさん送りますし。 ――「好きだよ」と伝えたり……。 前澤:全然言いますね。本当に超ストレートに伝えます(笑)。 ――前澤さんの決断と行動の早さはよくわかりました(笑)。ただ、唯一無二のアート作品を愛し、ご自分で買われる一方で、ZOZOTOWNで売っている商品は大量生産品ですし、プライベートブランド「ZOZO」はサイズこそオリジナルでもデザインは画一的です。そのギャップに違和感を覚えるのですが、どのようにお考えでしょうか。 前澤:いい質問ですね(笑)。僕らのプライベートブランド「ZOZO」のコンセプトは「be unique, be equal」。これは個性的でいながらも、平等や公平でありたいという意味です。僕が考えるに今の時代、ファッションを自己表現ツールとして使いこなしている人はごく一部で、大半の人は服に何かしらのコンプレックスを抱えている。世界中の多くの人が「本当にこの服は自分に似合っているのか」と恐る恐る着ていて、結果的に自己表現を抑制してしまっています。 ――実は多くの人が、ファッションを楽しめていない時代であると。 前澤:特にお店で「サイズがありません」と言われるたびに、否定された感触を覚えていると思うんです。だからこそ、僕らがやりたいのは「Tシャツやデニムのようなベーシックな服装でも、その人に合ったサイズを着るだけでこんなに違うんだ」と知ってもらうこと。自分の好みに合わせたファッションを楽しみつつ、自己表現してもらうことです。本来、大事なのはその人の内面。そして、内面を出すためには自己表現をしないといけない。目指すのは、そういった思いを支えられるような基礎的なファッションを作り直すこと。より多くの人が自信を取り戻し、誰もが対等にコミュニケーションをとれる世界を僕らはファッションを通じて作っていきたいですね。 ※1 ZOZOTOWN 年間購入者数722万人超、商品取り扱い高2705.4億円、取り扱いブランド数6400を超える日本最大級のファッション通販サイト。過去1年以内に1回以上商品を購入した会員の平均年齢は32.8歳、女性比率68%と、20~30代女性を中心に利用者数は右肩上がりを続けている ※2 ZOZOSUIT 全身に施されたドットマーカーをスマホのカメラで撮影することで、自宅で手軽に自身の体形を測ることができる採寸用ボディスーツ。’17年から予約を開始していたが、生産上の課題を解決できず、改良が重ねられた結果、現行の新スーツに至った
※3 プライベートブランド「ZOZO」 ZOZOSUITで採寸した体形データから、その人専用の服を作るオリジナルブランド「ZOZO」が今年1月にスタート。現在は、1200円のクルーネックTシャツと3800円のデニムの2種類を販売している ※4 アイデアを3億円で買い取った テクノロジーに注力すべく、「個人や企業からのアイデアや特許を買い取る」と発表。その第1弾として、3人の匿名研究者からのアイデアを3億円で買い取り、より低コストで高精度のZOZOSUIT開発に成功した ※5 幕張手当 スタートトゥデイでは、本社を置く幕張エリア在住の社員に対し、月額5万円の手当を支給。そのほかにも、本社そばの「ZOZOマリンスタジアム」のネーミングライツを購入するなど地元への貢献活動を積極的に行っている ※6 アートコレクター ‘17年5月にはジャン=ミシェル・バスキアの絵画をアメリカ人作家史上最高額の約123億円で落札し、世界的にも話題に。また、建築家のジャン・プルーヴェの展覧会を在日フランス大使公邸で開催した功績が認められ、今年2月にはフランス芸術文化勲章オフィシエを授与された ※7 例のスクープ写真 今年4月に『女性セブン』が前澤氏と女優の剛力彩芽氏とのデート風景をスクープ。前澤氏は自身のTwitter上で「真剣ですよ!」と交際をただちに認め、その後、剛力氏の所属事務所も認める声明を出した 【前澤友作】 ‘75年、千葉県生まれ。‘95年から輸入レコードやCDの通販を開始。その後、’98年にスタートトゥデイを創業し、’04年にはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を立ち上げる。アートへの造詣が深く、’12年には公益財団法人「現代芸術振興財団」を設立 取材・文/藤村はるな 撮影/田子芙蓉
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