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前澤友作氏の「1億円腕時計」ってどんな時計? 腕時計投資家が解説

前澤さんの1億円腕時計はどんな時計?

RICHARD MILLE

リシャール・ミルRM016

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。  今月8日から宇宙旅行に行ってることで話題になっている前澤友作さん。その際、宇宙に持っていく時計として1億円の腕時計を日本から持っていったところ、宇宙に行く前に、ロシアの空港で没取されてしまったとのこと。そもそも「1億円の腕時計ってどんな代物?」という疑問を持っている人は多いと思います。前澤さんが持っていこうとした腕時計は、リシャール・ミルといわれています。  リシャール・ミルは、2001年に登場した、かなり新しい腕時計ブランドなのですが、その中心となる価格帯が1000万や1億円単位の超高級腕時計。正直、私は、このブランド、そこまで詳しくありません。ラインナップする腕時計の特徴としては、高価かつ限定モデルといった内容で、ロレックスといった一般的な高級腕時計の文脈からすると、かなり特殊な側面を持ち合わせているといえます。  リシャール・ミルの限定数は、15本とか50本といった少ない単位なのですが、これと同じような限定数の時計といえば、2003年頃に話題になったのがロジェデュブイを思い出します。ロジェデュブイは、マニュファクチュール(自社一貫製造)かつ、ジュネーブシール取得という超本格的な内容の腕時計ですが、28本程度の限定数で販売するといった傾向がありました。2003年当時は、パネライとフランクミュラーが流行りの真っ只中だったわけですが、その両方のいいとこどりをし、さらに「ジュネーブシール」といった付加価値をさせたという内容といえます。  しかしながら、その現在の中古相場を見てみると、あまり値動きはしていない様子。そのことから、2021年現在において、そこまで需要が高くないといえる側面があります。なぜ、こういった状態なのかというと、やはりその原因は28本限定という「少ない限定数」だといえるでしょう。これだけ数が少ないと、希少性を通り越して、「良さを他者と共有しづらい」という事になってしまいます。そうなると、時計ファン目線で「あのモデルがほしい」という需要を生み出しづらいのだと思います。

高価格帯ながらも値上がりしているモデルも

 けれども、それとリシャール・ミルには大きな違いがあります。それは、リシャール・ミルの価格帯が1000万、1億円単位という点です。こういった価格帯が「メイン」というブランドは、他にありません(ほぼ)。そのため、「超高い」ということは、際立った個性といえるでしょう。そのため、現在のところ、リシャール・ミルの中古相場は、それなりに評価されているという部分があります。  例えば、RM016というモデルの中古価格を調べると、現在1100万円台といった価格帯になっているようですが、数年前には中古が300万円台で購入可能という様子。そうなると、リシャール・ミルは、高価格帯ながら値上がりしているということになります。ただし、このRM016というモデルの場合でも、多くのバリエーションが存在する模様。同じ文字盤色といったように、「全く同じ」という条件では比較不可能であります。  ただ、定価で1億円といった単位のモデルについては、現在の中古価格は定価を下回っている様子。RM-5102のRGモデルの定価(2015年)は、1億1318万4000円ですが、現在、その中古が1億197万円で購入可能です。いずれも、1億円超えに変わりありませんが、中古の場合、定価よりも、1000万円以上安価に購入することができるといえます。
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世界中の富裕層が好むワケ
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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