恋愛・結婚

ポケベル時代の失恋トラウマ。愛してないのに「アイシテル」を連投され…

 他に悩む事のない学生だからこそできた、まっすぐで執着心丸出しの恋。そんな甘ずっぱい思い出は誰にでもあるのではないだろうか?

 現在は優しい奥さんと可愛い子どもに恵まれたNさん(42歳)だが、青春時代の一瞬をともに過ごした、絵に描いたような小悪魔のことが忘れられないという。

ポケベル

ポケベル時代の「アイシテル」に翻弄された恋…


「出会いは高校の卒業式直後の夜でした。クラス単位での飲み食い、まぁ日本式プロムみたいなものを終え、親しい男たちだけで集まったカラオケボックス。私たちの部屋の隣に、同じく卒業式後でテンションの高い、別ハイスクールの女子一団がいて、そのうちの一人が偶然中学の同級生でした。で、ノリで合流したんです」

 Nさんのグループはサッカー部が中心の、今でいうスクールカーストの上位。みんな自信の塊で、まさに怖いものなしだったとか。

「当然、隣部屋が地味な集団だったら無視していますよ。思い出補正たっぷりでしょうが、みんなオシャレでキラキラしていたんです。なかでもI子はブッチギリでした」

 一目惚れだった。少々派手で慣れたメイク、ベロアのコートに色落ちしたデニム、初めて目前にしたハイヒール……。

「飛び抜けて大人びたルックスのなかに、ほんのりコギャル感があって、当時の僕が描いていた理想の女子でした。しかも、卒業したのが県下屈指の進学校とあって、会話の引き出しが多い。見た目に反して知的というか、相手が喜ぶ返しをしてくれるんです。調子こいている僕らの子どもっぽいボケも的確に拾ってくれて」

 まだスマホどころかケータイすら普及していない’90年代、最先端の連絡ツールはポケベルだった。Nさんはひどく緊張しながら番号を聞いたのを覚えている。

「僕史上、もっともイキがっていた時代でしたが、初めて女のコと口を聞いたのか? ってくらいドキドキしました。それぐらい彼女は眩しかったんです」

 それから毎日のようにポケベルでやりとりし、数日でかなり分かり合えた。

「僕は大学生になり、彼女は美容院に就職。僕よりはるかに偏差値の高い学校を出ましたが、勉強は嫌いだから少しでも興味のある道に進みたかったと。もう滅茶苦茶リスペクト。周囲は自分も含め、なんとなく進学が当たり前でしたから」

 新しい環境にバタバタし、関係に進展があまり見られないなか、講義中のNさんにメッセージが。

「ガクショクマエ」

 まさかと思いながら向かうと、ベンチにI子が座っていた。

「初見の時と同じく、ワンランク上の輝きっぷり。超嬉しかったですよ。サプライズ&こんなに可愛いコが俺に会いに来たんだぞ! という自慢。そして、わざわざ来てくれた=気がないことはない、という確証もあって」

 残りの授業そっちのけで遊びまわり、地元には終電で。別れ難かったNさんは彼女を高架下の公園に誘い、告白。無事にOKをもらった。

「その晩のうちにハットトリックを決めました(笑)。若かったし、何よりテンションが半端なく高かったですから」

 以降、0時過ぎに帰ってくる彼女を、駅まで自転車で迎えに行くのが日課となった。

「そこから公園やカラオケに。日が昇る頃、I子の家に送って解散。僕は気楽でしたが、彼女は単純にキツかったでしょうね」

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彼女の隣には、なぜか同年代の男が…

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