更新日:2022年12月30日 10:44
スポーツ

高さ43mの絶壁!W杯日本戦のスタジアムは急峻すぎる“恐怖のスタンド”がそびえ立つ

 明日の0時(日本時間)、現地20時(モスクワとは+2時間の時差)にいよいよ迫ってきた日本×セネガルの試合。初戦に勝った両チームにとっては勝ったほうが、決勝リーグ進出をほぼ決める重要な試合となる。  モスクワから東に1670km、ウラル山脈の麓にあるエカテリンブルクという街で行われるこの試合。記者はサンクトペテルブルを経由し、飛行機で2時間半かかるこの街にやってきた。  ロシア第四の都市であるエカテリンブルクは人口150万人。ロシア有数の工業都市として名高く、ロシア革命によってロシア皇帝一家が銃殺された、ロマノフ王朝終焉の土地としても知られる。

初戦が行われたサランスクよりは大都会だが、どこかのんびりとした雰囲気が漂う

街のシンボル「セバスチャノフの家」。19世紀にウラル鉱山で財をなしたニコライ・セバスチャノフの邸宅

 実際街を歩くと、緑豊かななかに、そこはかとなく都会感もある。路面電車や縦横に走る様子から、日本で言えば、広島や熊本などの中枢都市を思い浮かべることができる。

この街の中心、レーニン像がそびえ立つ「1905年広場」。ここから徒歩15分ほどでスタジアムにつく

 そんなこの街で注目を集める場所がある。なにを隠そう、明日試合が行われる「エカテリンブルク・アリーナ」(別名セントラルスタジアム)。街の中心部でレーニン像が建つ1905年広場から、徒歩で15分程度の近さにある、今大会でも屈指のアクセスの良いスタジアムだ。  何が注目かというと、そのスタンドの形。通常のスタジアムとは大きく異なり、スタンドが突き出た形になっているところである。サッカーファンの間では、組みあわせ抽選会で、会場が決まる前から話題となっていた。このたび日本代表がこのスタジアムでの組を引き当てたことによって、「珍スタジアム」での体験が許されたのだ。  試合前日の夕方、記者は実際に訪れてみた。スタジアムに近づいてみて、驚いたのはその突き出たスタンドの高さだ。43mもあり、周りには遮るものが一切ない。さらには足場が無数に組んであり、仮設スタンドだということだ。

いきなり目に飛び込んできたこの絶壁。甲子園のアルプススタンドの比ではない

正面からみたところ。両サイドからスタンドが飛び出ている

 もともとは地元のチーム「FCウラル」のホームスタジアムとして1953年に建設、その後荒れ果てたりする過去がありながら、’17年にW杯用のスタジアムとして改修された。2万7000人程度の小さなスタジアムに無理やり屋根をつけて、さらにW杯の収容人数規定を満たすため、仮設でのスタンド増設が認められたという、なにやら紆余曲折あるスタジアムなのだ。

中心部の郵便局には明日の試合の注目選手が

その横にはFCウラルの本拠地としての「セントラル・スタジアム」の歴史が書いてあった

 21日にフランスとの試合を戦ったペルーサポーターがまだ街に残っていたので、話を聞くと「怖いというよりは風が吹いて寒かった」と言う。日本の試合もペルー×フランスと同様2の0時の開催だけに、ここでの観戦は「寒さ」との戦いになるという。  スタジアムの屋根の高さが45mに対して、スタンドの最上部は43m。一番上の人はそもそも試合が見れるのか? という疑問はギリギリで回避されている。

隣の4階建ての建物より遥かに高い……

試合を前日に控えているが、大変のどかであった

街唯一の高層ビル、ホテル・ヴィソツキーの52階展望台からの眺め

完成時撮影された「スタンドからの眺め」

 記者もスタジアムをぐるりと一周回ってみたのだが、やはりスタンドばかりに目が行く。実際明日の試合は、記者はこの急峻なスタンドのどこかで観戦することが決まっており、ぜひ最上段にいってその「絶景」を楽しんでこようと思っている。 取材・文・撮影/遠藤修哉(本誌)
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