洞窟に1か月入りっぱなし…洞窟探検家・吉田勝次がラオスに世界最大級の洞窟を発見
高層ビルがすっぽり入りそうなほど巨大な空間があって、強力なライトでも奥まで光が届かない。船でさかのぼったり、ガケをよじ登ったりしてライトを置き、合図でライトをつけていくんですが、連絡を取り合う無線がどんどん水でダメになっていっちゃって。最後は、笛です。『長く吹いたら点灯!』『ピッピッと短く吹いたら消す』とか合図を決めて、笛で連絡を取り合いました」
異常な湿気と地下水にはずっと悩まされ続けた。撮影用カメラも水でダメになっていき、最後は予備の防水カメラとヘルメットにつけた小さいカメラだけで撮影したという。
「中でも大変だったのが、強アルカリ性の地下水です。強酸に触れても皮膚の表面がヤケドしてしまいますが、それでも皮膚の表面だけです。強アルカリは浸透してしまうので皮膚の内部組織までやられてしまうんです。今回は泳いだり水の中を歩いたりと、常に足がぬれているので、すぐ皮膚がボロボロになって、痛くて歩くのにも難儀しました」
確かに美しい光景は見られるかもしれないが、真っ暗な洞窟を探検するには危険も伴う。
観光用の整備された洞窟と違い、ロープで縦穴を下りたり、わずか17cmのスキマに身体をねじ込んで通り抜けたり、地底湖を潜水することもある。隙間に身体が挟まって動けなくなったり、落石で骨折したり、道に迷って戻れなくなったなど、「あわや」と思うことも何度もあったという。
それでも洞窟探検を続けるのは、「未踏の洞窟と出会ったときの感動がたまらない」からなのだとか。
「未踏洞窟には正真正銘の『未知』があります。その未知の世界に、行ってみたい、見てみたいと猛烈に思うし、いざ未知の空間に到達できれば途方もない感動が味わえます。自分が初めて足を踏み入れた空間の、先がどうなっているのか、どこまで続いているのかまったく予想がつきません。腹の底からドキドキ、ワクワク、興奮するんです」
洞窟探検家として世界で6カ所に未踏洞窟を発見している吉田さん。
「はじめて洞窟に入ったとき、これに出会うために生きてきた!と思った」のは28歳のとき。そこから実地で探検のスキルを磨き、レスキューなど技術を身につけ、世界の洞窟探検家とつながっていき、「洞窟のおかげで自分の人生が豊かになった」という吉田さんの洞窟人生をもっと深く知りたい方は、吉田さんの著書『洞窟ばか』をぜひ読んでみてほしい。
どうやって洞窟を探すのかからはじまり、洞窟での食事や排泄のこと、洞窟内で遺体を発見した行天エピソードまで、いかに洞窟探検が壮大な世界であるか、怖ろしくも面白い探検の実態と洞窟にかける情熱がひしひしと伝わってくる。海外で未踏洞窟を探すのは手続き面でも大変なのだが、ラオスで洞窟を探し始めるまでの過程も記されている。
※4Kカメラ、ドローンを使って撮影した神秘の映像「世界最大級!ラオス 絶景の未踏洞窟に挑む」の放映は7月16日海の日NHK総合で19:30から
未踏の洞窟を発見したときの感動がたまらない
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『洞窟ばか』 TBS『クレイジージャーニー』などで話題沸騰の男・吉田勝次。国内外で前人未踏の地下世界に挑み続けてきた洞窟探検家、初の著作 |
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