更新日:2021年11月01日 08:39
恋愛・結婚

熊本の女子高生が、歌舞伎町の「のぞき部屋」で裸になるまで

みすず:SMってそれまでよく知らなかったんですけど、M女専門店で働く前からペットになってたおじさんとカッティング(刃物で皮膚を切る遊び)とかはやってたんです。これが本当のSEXなのかな?って思ってたから、みんな大変な思いをしてSEXしてるんだなぁって勘違いしてました(笑)。だから、M女専門店に来るようなお客さんとは価値観が合わず、しょっちゅう喧嘩してました。で、結局お店は辞めました。でもやっぱり地元の熊本に帰る気にはどうしてもなれなくて。それからはおしっこ専門店に移りました。

精子入りコンドームをカバンから下げて歩くワケ

 筆者は、みすずさんと接点を持つより先に、共通の知人から「精子入りのコンドームをカバンから下げてる女性がいる」という話を聞いていた。それはちょうど彼女がおしっこ専門店にいるときの話だった。

SEXした男の精子を持ち歩いていた

――なぜセックスした男性の精子を持ち歩いていたのでしょうか? みすず:もう二度と会わない人たちともセックスするわけじゃないですか。当時、札幌に住んでいましたが、東京に遊びに来た記念に(精子を)持って帰りたかったんです。でも、カバンに入れると摩擦で破れちゃう。で、精子をジップロックみたいなものに入れてみたけど全然ダメで。本当は潰れないようにカンカンに入れるのがいいんですけど、旅先でそんなの持ってるわけがないから、カバンからぶら下げるしかなかったんです。 ――なぜそこまでセックスに思い入れがあるのでしょうか? みすず:私、好きとか愛してるとか、いっしょにいると楽しいねって男の人の言葉は半分ぐらい信じてません。デートは前戯って考えているので、言葉だって真心じゃないわけではないんですけど、SEXのほうが嘘がないぶんリアルな感じがする。今、目の前にいるこの人が私を抱いて射精するまでは、少なくとも私に対する絶対の時間があるって信じられる気がするんです。

風俗客と結婚。そして離婚

 彼女が再度上京を決めたのは、勤務先の札幌の風俗店で知り合ったお客さんとの結婚がきっかけだった。一見、性に奔放に見える彼女が結婚に踏み切った理由とは――。 ――風俗のお客さんと結婚されたんですね。 みすず:一年ぐらい毎月通ってくれているお客さんがいて、その人と喋っているうちに仲良くなれそうだなって思ったんです。優しくて、お金も持ってて。お金持ってる人と遊んだら、楽しいじゃないですか。連絡先を交換して、彼が北海道にいるあいだはずっといっしょに遊ぶようになったんです。そのうちに、彼が私の狭いワンルームに来てくれたんですよ。今までこんなことしてくれた人いない!と思いました。それで彼と結婚して東京に戻ったんです。 ――でも、離婚することになる。 みすず:そう。彼は束縛が激しくて、だんだん話も合わなくなっちゃった。私、SMプレイとかいろいろやってみたことがあったんですけど、彼と結婚してるあいだはそういうことができなかったんです。軽く飲みに行くだけでも、どうせ男といるんだろって束縛される。  でも、そのうち別にバレてもいいやって思って、のぞき部屋で働くようになりました。とにかく、自分を表現する手段がどこにもなくて苦しかったんだと思います。 =======================  ここまでが、みすずさんがのぞき部屋で働くに至った半生のすべてである。美しいまでにまっすぐな瞳で、男の人がいないと生きていけない!とアッケラカンと話す彼女を突き動かす衝動とは何なのか。なぜ風俗にここまで思い入れがあるのか。  最後に彼女はその理由をこう語ってくれた。 ======================= みすず:以前、キャバクラで働かない?って誘われたこともあるけれど、そういう仕事はしたくないんです。お客さんたちは女のコとお喋りしてるだけで満足するのかもしれないけれど、なんだか妥当な金額じゃない気がするんですよ。  その点、性風俗って“ヌキ”っていう目に見えてわかるものを提供できるから、この値段は安くも高くもない金額だと思えるんです。それに肉体的なサービスなので、どちらかが相手に対して嫌だなって感じていると、どうしてもそういう気持ちって伝わるんですよね。そうなったら、お客さんも私のところには来なくなる。もう二度と私との過ちに付き合わなくていいんだから、健全じゃないですか。<文・写真/佐藤麻亜弥>
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