山本KID死去で論争勃発!「入れ墨があるとMRIは受けられない」はウソ?
がん闘病を公表していた総合格闘家・山本KID徳郁さんが18日、41歳の若さで亡くなった。“神の子”の愛称で、「K-1」「HERO’S」と戦う舞台を変えながら、世界最高峰の「UFC」にも参戦。小さな身体で、自分よりも大きな選手を相手にKOの山を築き、日本格闘技界のスター選手の1人だった。
同選手が8月末にがんを公表した際、病気の詳細については明らかにされていなかったが、SNSなどでは「タトゥーが影響したのでは?」という憶測が多数投稿された。特に多かったのが、「入れ墨があると、MRI検査を受けられないから、発見が遅れたのでは?」という説だ。果たして、本当に入れ墨がある場合、病院の検査は難しいのか? MRIは受けられないのか? そこで自身も全身に彫り物がある二代目梵天一門・刺青師・大江戸梵天氏に聞いた。
「結論から言えば、“今はない話”だと思います。昭和の頃は入れ墨の顔料に“酸化鉄”などの金属材料が使われていたことがあり、MRIの電磁波で発熱してしまい火傷することがあった、とは聞いたことがあります。現代では彫師のほぼ全員が人体に影響のない“審査を通った顔料”を使っているので、レントゲン、MRIも受けられます。友人のレントゲン技師も『入れ墨のある患者さんのMRIの事故は記憶にないよ』なんて言ってました。ただし、入れ墨のある患者がMRIを受ける際に、『すべては自己責任』という誓約書は書かされますけどね(笑)」
また、入れ墨を彫る際の“針”にも使いまわしによるB型・C型肝炎やHIVなどの感染リスクも心配されるが、梵天氏は「現代ではありえない」と否定する。
「それも30年前ぐらいの話ですね。その頃は彫師の意識も低く、針やインクの使い回しで肝炎感染した、なんて話は聞きました。現代は針も使い捨てが主流です。使い捨て出来ない部分は、病院と同じで高圧蒸気滅菌器『オートクレーブ』でしっかり滅菌していますから」
梵天氏自身も趣味で総合格闘技に勤しみ、試合出場の際の病院で血液検査も行う。困ることといえば、「看護師さんは血管は見えづらいみたいで、何度か失敗されるぐらいですね(笑)」程度とか。KIDさんも病院の検査は問題なく受けていたただろう。しかし、入れ墨の人は利用できない施設がまだまだ多いのは事実だ。
「銭湯は大丈夫ですが、スーパー銭湯はダメ、民間のプールもダメです。保険も大半入れないのですが、全労災の国民共済、都民共済などは審査段階で入れ墨の告知義務がないので大丈夫です。まぁ、私のように和彫を入れるならば、ある程度は生き方に覚悟を持たなくてはいけませんね」
KIDさんの覚悟を持ち挑み続けた格闘技人生は、ファンの心にタトゥーのように深く刻まれたのは間違いない。
【二代目梵天一門・刺青師・大江戸梵天氏】
日本一の腕前と言われた「二代目梵天」に弟子入りした後、2年の修行期間を経て独立。キャリアは20年以上で、映画、舞台などの“ペイント”にも協力。芸能界にもファンは多く、浜崎あゆみのPV等のペイントも手掛けている。
〈取材・文/日刊SPA!取材班〉
入れ墨の顔料に含まれる“酸化鉄”が、危険だったのは過去の話
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