雑学

闇金に毎月10万~20万円払っています――地方職員43歳の悩み相談

― 連載「佐藤優のインテリジェンス人生相談」―
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

闇金に毎月10万~20万円払っています

あまざん水平(ペンネーム) 自治体職員 男性 43歳

 東北地方のM県で任期付き職員をしています。フリーター時代から闇金(090金融)に毎月毎月、元金の支払いを“ジャンプ”して、利息だけで10万~20万円を払ってきました。当然、給料だけでは生活ができず、処分覚悟でアルバイトをしていました。以前はF県の職員として働いていたのですが、処分されそうになったので辞めて、M県への受け直しをしています。

 災害派遣手当、退職金、ボーナスもあってサイマー(多重債務者)としてはかなり恵まれていてキャッシュフローはあるのですが、ジャンプするので利息しか払っていません。完済できない金額ではないのですが、借りるのをやめたら、どんな仕打ちを受けるかわからず、弁護士を入れて支払わない宣言をする踏ん切りがつきません。

「振り込め詐欺救済法」による返金は都度申請しています。貸主の所在地はわかりませんし、転送電話で連絡してくるし、銀行口座も本人のものではないでしょう。警察も弁護士が依頼しても本気で相手方を探さないでしょうし、検挙もしないでしょうし、弁護士が交渉できるような相手ではないようです。どうしたら、多重債務者生活を脱却できるでしょうか。

闇金◆佐藤優の回答

 資本主義は人間の欲望を加速させます。消費のために借金をすると抜け出すことがなかなかできないような状態になります。大江健三郎氏は名作『万延元年のフットボール』の中で四国の寒村が資本主義経済の導入で急速に疲弊していく様子についてこう表現しています。

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「村の人間はどんな問題を考えるのにも、長い展望をたてないからなあ。(中略)つまらぬ目先のことだけ時間をかけてぐずぐずやっていて、結局すべて収拾不可能になると、まあ他力的に局面が変るだろうと、なげやりなことを考えているんだからね。とくにスーパー・マーケット問題がそうですよ。

 村の商店は、一軒だけ酒屋兼雑貨屋のそれも酒屋の部分がつぶれないでいるのを除けば、谷間に進出して来たスーパー・マーケットの圧力で総崩れになったんだが、商店の連中はそれに対して自衛しなかったばかりか、いまはたいていの連中が、なんらかの形でスーパー・マーケットに借金をためていますよ。借金が払えなくなったあげくの収拾不可能の頂点で、スーパー・マーケットが忽然と消滅して誰も借金の催促に来ない、というような奇蹟を期待しているんじゃないかね? たった一軒のスーパー・マーケットが昔でいえば村ぐるみの逃散しかないようなところに、谷間の人間を追いこんでしまったんだなあ!」

(『万延元年のフットボール』104頁)

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 あなたは現在、闇金を相手に「つまらぬ目先のことだけ時間をかけてぐずぐずやって」いるにすぎません。

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闇金も組織です

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