スタジアムに鳴り響く大音量のブブゼラに最初は怖気づいたが……
キックオフは18時30分なのだが、我々は13時30分頃スタジアムに入った。まずスタジアムに入って驚いたのが、試合開始5時間前にも関わらずスタジアムの8割が既に席で埋まっており、大音量のブブゼラが鳴り響いていた。
入場直後のスタジアムの風景
さすがにこれには圧倒され「とんでもないところに来てしまった……」と最初こそ少々怖気づいたが、1時間もしてくるとブブゼラの音量にも慣れてしまい、緊張感も徐々に解けてきた。日本人エリアは多くの警察官が配備されており、「通路であまり立ち止まらないで」などという注意はされたが、必要以上に日本人を厳しく取り締まる様子はなかった。
入場から2時間ほど経った頃、スタジアムが大きく沸いた。メインスタンドにあった空席エリアにイラン人女性の集団が入場してきたのだ。既に各報道で伝えられている通り、今までイラン国内でほとんど認められていなかった女性のスタジアム観戦が今回認められた。その女性たちが入場する歴史的な出来事にスタジアムの観客も喜び、女性たちも旗を振りながら入場してきた。
スタジアム周辺のイラン人女性たち
女性専用ゾーンに入場するイラン人女性たち
ちなみに、その他のエリアは全て男性ではあるが小さい子供や若者も多く見受けられた。相変わらずブブゼラは鳴り響いているが、暴力的な雰囲気はほとんどなかった(これがACL決勝だからなのか、普段からこうなのかは定かではないが)。
また、日本人エリアの左隣にはお揃いのジャージを着てAFCのIDパスを掲げた現地アンダーカテゴリーのサッカー選手らしき集団が居た。鹿島の応援が始まると、向こうも騒ぎ出したが途中で「ヒロキーアーベ!」と歌いだした。10月にインドネシアで行われたAFC U-19選手権(来年行われるU-20ワールドカップのアジア予選)で活躍した鹿島アントラーズ所属の安部裕葵選手の活躍が強く印象に残っていたようだ。またその後は「ウターワエッズ」(恐らく浦和レッズと言っている)と言うような声が聞こえてきた。恐らく鹿島サポーターを挑発してきたのだろうが、残念ながら鹿島サポーターはこの搖動に対して完全無視であった。というか正確には「何を言っているか聞こえなかった」のほうが正しいかもしれないが。
スタジアム内に売店はなく、途中で売り子の人たちがやってきた。とにかく喉が渇いたのだが、パッケージの底側にストローを刺して飲むオレンジジュースしか売っていなかった(※ちなみに空港ではペルシャ文字が書かれたコカ・コーラが売っていた)。
スタジアム内で売っていたオレンジジュース
ペルシャ語で書かれたコカ・コーラ
日本人エリアには男女用トイレが1か所ずつ配置されていた。男性トイレもすべて個室であり、和式トイレのような形状であった。だが驚くべきことに、トイレには紙がない。大のほうの用を足した後は、シャワーホースで洗い流すのだ。これはスタジアムだけではなく空港でも同様だった。どうやらイランに限らず中東ではこのような形式が一般的のようだ。
イランのトイレ
さて、キックオフが近付くにつれて緊張感が増してくる。スタジアム内で花火があがり、両チームの大きなエンブレムが登場し、現地の人気歌手によるパフォーマンスなどが行われた後、キックオフを迎えた。
スタジアム内で挙がった花火