更新日:2023年05月23日 16:59
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「イランと戦争寸前のアメリカに正義はあるか?」佐藤優が考察

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!
イラン

※写真はイメージ

イランと戦争寸前のアメリカに正義はあるか?

★相談者★ 憂国人(ペンネーム) 会社員 男性 55歳  アフガニスタン、イラクへと侵攻したアメリカが今、イランと対立しています。イラク侵攻のときには「大量破壊兵器がある」と言い続けたのに、何も出てきませんでした。  今回も「脅威だ」といって、一方的にイランの司令官を殺害したことに原因があります。イランが反撃するのは当然のことだと思います。今のアメリカに正義はあるのでしょうか? またアメリカとイランが戦争を始めた時、私たちにはどんな影響があるのでしょうか? ◆佐藤優の回答  ’18年5月、米国はイラン核合意から離脱しました。米国のトランプ大統領の思惑について外交ジャーナリストの手嶋龍一氏はこう見ています。 =====  合意離脱後のアメリカの行動は素早いものでした。同年八月には、自動車関連取引などを禁じる対イラン制裁を発動します。そして、十一月には、イランの主要輸出品である原油取引などを対象とした制裁を発動。その際、日本、中国、韓国、インド、トルコ、イタリア、ギリシャ、台湾の八ヵ国・地域については、その影響の大きさを考慮して一時的に輸入禁止の適用外とする措置を講じました。  ただ、その猶予期間も一九年五月で切れたことから、わが国もイラン産原油の輸入量はゼロになりました。トランプ政権はその後、一九年五月にも金属取引を禁じる追加制裁に踏み切っています。  ここでも、トランプ大統領の脳裏に去来するのは、(中略)金正恩委員長との歴史的な対話を実現できた、という成功体験。同じように圧力をかけ続ければ、イラン側がいずれ交渉に応じるはずだ、と考えているのではないでしょうか。(『日韓衝突――「トランプ・ドミノ」が誘発する世界危機』127頁) =====
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日本も大きな影響は受けません
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’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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