普通のサラリーマンが裏社会に足を踏み外すとき…落とし穴は身近に潜んでいる
普通のサラリーマンでも油断しているとあっという間に人生が終わってしまうかもしれない。裏社会の取材を得意とするノンフィクション作家の草下シンヤ氏によると、私たちの身近なところにも足を踏み外してしまう危険が潜んでいるらしい。
「人口比率的に考えて、裏社会の顧客の多くは表社会の人間。裏同士でやり合うケースもありますが、身内で食い合っているだけでは意味がない。彼らが外に目を向けるのは当然です」
いつの時代でも身を崩す入り口と言われているのが「ギャンブル・クスリ・オンナ」の誘惑だ。草下氏によると、時代とともに誘惑を介するツールは変化していても、それ自体は今も変わっていないらしい。そして、その周囲を取り巻く裏社会の人間たち……。では、私たちが気を付けなければいけないことは何なのか。
一般人が歩いている大通りでも、脇道にそれれば裏社会につながっている場合もある。たとえば、カジノだ。カジノ法案が成立したとはいえ、日本ではまだ違法とされている。芸能人やスポーツ選手による闇カジノ・賭博事件が頻発したことも記憶に新しい。
「10年前は大人の社交場的なイメージもあった裏カジノに対する社会の目は、かなりダーティーなものへと変わりました。とはいえ、いまでも楽しんでいる人たちはいます」
現在では、ネット喫茶のような場所でプレイするインカジ(インターネットカジノ)がサラリーマンの間でも人気となっているそうだ。もちろん、違法な裏カジノの一種であるが、あまりの気軽さから手を出してしまう人が多いらしい。
「インカジは違法ですが、まだ警察も本腰入れて摘発には乗り出していないんですよ。そのため、繁華街で声を掛けてきたキャッチに連れられて行く人も多い。入り口もわかりやすく、だれでも簡単に入れてしまいます。客層はホスト、キャバ嬢、半グレが多いが、普通のサラリーマンもいる。賭け金も少なくて済むうえ、その場で現金で清算してくれる。数時間遊んで4000~5000円だけ負けて帰る、みたいな人もいますね」
だが、入り口が開いているからといって、その先が安全であるとは限らない。違法な業界である以上、どんなに気軽に行ける場所でも危険は隣り合わせということを忘れてはならない。控除率(カジノ側の利益)が決まっているなかでの賭けなので、勝つのは至難の業。どっぷりとハマってしまい、数百万円が溶けてしまった人もいるのだ。
芸能界で違法薬物にまつわるスキャンダルが絶えないように、表の社会でも薬物が身近なものになっている業界が存在しているらしい。たとえば、逮捕者が相次ぐ音楽業界などは察しが付くが、広告業界がそのひとつだという。
「広告業界の大手では、付き合う人たちがそもそも芸能人であったり企業の幹部や社長であったりすることが多い。そういった付き合いのなかで飲みに行く場所は、麻布の会員制バーなど。指紋認証でドアを開けるような店もあり、そんな店には半グレがいることもある。よく芸能人と半グレの2ショット写真が流出しますよね。そこで出会った半グレとの繋がりで、普通の人がクスリを覚えてしまうパターンが見られます」
売人のなかにはフレンドリーに接してくる者も多く、はじめは軽めなマリファナをすすめてくるそうだ。段階的にレベルを上げ、精神的にも身体的にも依存度が高い覚せい剤などに移行させていく。
「半グレなどは昔から悪さを重ねているから、クスリに関しても節度を分かっている。でも30才を過ぎてからクスリに手を出すような人間はだいたいハマってしまい、身を崩してしまう人がいますね」
草下氏のまわりの話では、ある広告代理店の人間が覚せい剤にハマり、突然髪の毛をオレンジ色に染めて出社。当然ながら、のちにその広告マンは逮捕され、会社を去った。普通の人が裏の世界に首を突っ込むと、壊れていくスピードは速いのだという。
インカジにハマって足を踏み外すサラリーマンたち
会員制バーで半グレと出会い薬物依存に…
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