日本でも起業に成功した若者はいます。しかし、その背後には社会の底辺に去っていった人々もいます。ちなみに現在、日本人の平均生涯所得は2億5000万円から3億円くらいと思いますが、30代でアーリーリタイアメントして、余生を悠々自適に過ごすためには、その10倍くらい、すなわち25億～30億円の蓄えが必要になると思います。なぜなら、超富裕層のライフスタイルは一般の人々と異なり、多額の消費が必要になるからです。 　人生に夢を持つことは重要と思います。しかし、超富裕層になる目的は何でしょうか。私はロシアとイスラエルで、超富裕層に属する人を何人か知っています。宮殿のような家に住み、移動には、常に護衛が付きます。一般の人々が集まるレストランやカフェを使うことはできず（いろいろな人が知り合いになろうと話しかけてくるので落ち着けないからです）、外食には高級レストランの個室しか使えません。ああいう窮屈な生活に私は憧れません。毎日、通勤電車に揺られる生活でも楽しみは見つけられると思います。 ★今週の教訓……起業の成功者の陰に数百倍の失敗者がいる ’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数