世界的SUVブームのなかカーマニアは絶滅危惧種のスポーツカー保護運動を見守る義務がある
いったいナゼ?
思うに、これはスポーツカーという絶滅危惧種の保護運動でしょう。トヨタは、世界有数の巨大自動車メーカーとしての義務感から、スポーツカー保護に立ち上がったのです!
世界中の大衆は、スポーツカー離れをしてしまった。スポーツカーなんて狭くて不便なだけで、なんもいいことない。SUVのほうがモテるしカッコイイ。全世界的にそういうムーヴメントですが、これは座視できぬ! スポーツカーが絶滅すれば人類にとっての損失! なんとかせねば! トヨタ様はそう考えたのでしょう。ありがたや~。
ということでスープラは、今年早々に正式発表されるのですが、その前にひと足早く、サーキットでプロトタイプ車に試乗させていただきました。
ボディには赤や黒の迷彩が施されていましたが、これは間違いなくスポーツカーのカッコ! しかも2人乗り! 兄弟車の新型BMW Z4が2人乗りなので、スープラも2人乗りになったようです。ちなみにZもボクスター/ケイマンも2人乗り。このクラスはこれがフツーです。
乗った感じはですね、BMW製エンジンが吠え、加速は実にシャープ。ハンドリングもシャープ。怖いくらいシャープ。でも乗り心地は良好。そんな感じでした。
それより問題は、これを買ってくれる人がどれくらいいるかです。誰も買ってくれなければ、絶滅に歯止めがかかりません。お値段はいくらくらいになるのでしょう。
予想では、先代の約2倍、700万円台と言われています。うーん、なかなかいいお値段ですなあ。
もうひとつの課題は、新型BMW Z4も今年発売になることです。兄弟だけに中身は近いし、値段もそうは違わないはず。トヨタとBMWを天秤にかけた場合、スープラはかなりお安くないと負けそうな気がしますが、パッと見は明らかにZ4のほうがカッコいい。これは全世界的にキビシイかもしれない……。
というわけで、新型スープラの未来は、平坦ではなさそうです。でも、でもでも、これは絶滅危惧種の保護運動! 我々カーマニアは、全面的に温かい目で見守る義務がある! だから絶対にスープラの悪口は言いません!
【結論】
新型スープラが700万円台になるかもと聞いて、「高すぎる!」と思ったあなた。実はスープラの中古車は暴騰しておりまして、500万円以上(新車時より上)のタマも多数なのです! おそるべし、絶版スポーツカー人気1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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