ドラマでは今後、叶がどうやって“仲間”を見つけていくのか、特撮嫌いの母（松下由樹）との関係、そしてこのまま隠れ特撮オタを続けるのか、などが焦点となってストーリーが展開していくと思われる。そのなかで人間的に少しずつ成長していく彼女の姿に期待したい。 　人は誰でも自分だけの“好きなモノ”を持っている。「特撮」であれ「アニメ」であれ「アイドル」であれ、決して誰にも否定することはできない大切なモノであることは間違いない。 　“好きなモノ”を知ることは“その人”を知ることでもある。たとえそれが理解できなくても、喜びを分かち合うことができなくても、互いを認め合い、尊重するためには必要なことではないだろうか。 　分断と不寛容が叫ばれて久しい現代。このドラマは、そんなコミュニケーションの本質をコメディータッチで提示しつつ、好きなモノを好きだとなかなか言えない人の背中をそっと優しく押してくれるような温かさを持った作品と言える。＜文・中村裕一＞
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Xアカウント：@Yuichitter