「生きづらさ」を抱えた人の避難所は自然につくられていく――光武克の「発達障害BARにようこそ」
森永「光武さんってさ、本当に見た目と中身のギャップが大きいよね」
光武「そうなんですよ。パッと見ただけだと仕事できそうに見えますからね。誰もオタクの陰キャなんて思わないでしょうね(笑)。ただ、そういう僕でも今は居心地がいいんじゃないかなって思います、このお店は。中にいても外にいても、お客さんが積極的にコミュニティの中に引き込んでくれようとするんで。
そういう意味でサードプレイスになれてきているのかもしれないですね。もしうちの店がサードプレイスとしての価値を、森永さんをはじめとして提供できてきているなら、それは最初、つまり創業の際に意識した目標はクリアできたといえるかもしれません」
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コミュニティの価値ってなんだろうと考えてみると、やっぱり難しい。なぜならコミュニティは自発的・意思的なものなので、作ろうと思って作れるものではないからです。「作ろうとするのではなく、僕たちがどうありたいのか?」。この意識の延長線上にコミュニティが成立したのかもしれません。
社会がマイノリティを排除するとは言いませんが、「生きづらさを抱えた人たちが避難場所として逃げ込める空間」が必要な現状が今の社会にはあります。だからでしょうか、メキシコのインディオのように気軽に内側へと招き入れる気軽さを今の日本社会は必要としている気がします。
さて、そろそろ営業に戻らないと怒られてしまいますね。それでは、またのご来店をお待ちしております。
*お客側の登場人物はプライバシーの問題から情報を脚色して掲載しています。
<文/光武克 構成/姫野桂 撮影/渡辺秀之>(みつたけ・すぐる) 発達障害バー「The BRATs(ブラッツ)」のマスター。昼間は予備校のフリー講師として働く傍ら、‘17年、高田馬場に同店をオープン。’18年6月からは渋谷に移転して営業中。発達障害に関する講演やトークショーにも出演する。店舗HP(brats.shopinfo.jp) ツイッターアカウント「@bar_brats」
※ユーチューブチャンネル「ぽんこつニュース」でも光武さんが発達障害バーの日々を配信中
『発達障害グレーゾーン』 徹底した当事者取材! 発達障害“ブーム"の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る |
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