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平成賭博遺産 京王閣競輪名物のジャンボスタンドが消えた日

借金王が突然後ろに無言で座った!

3月撮影 解体工事の進む京王閣を裏手から

 ジャンボスタンドには多くのファン、そして競輪を愛した著名人がふらりと現れる場所であったが、記者が目撃したなかで印象的だったのは……’01年大晦日に「INOKI BOM-BA-YE」のメインでジェロム・レ・バンナに勝ち、翌年にはIWGPヘビー級まで獲った借金王・安田忠夫氏だ。  ギャンブル好きとして有名だった安田忠夫は借金が多く「借金王」の異名があったのはファンなら有名な話だが、その安田忠夫が閑散とした平日開催中に私の真後ろにドンと座ったのである。空いていて他にも席はいっぱいあるのに、なぜ私の真後ろだったのかはわからない。話しかけられるでもなく、安田忠夫は腕を組みながら拳に車券を持ち、無言でレースを3レースほど見ていた。特に喜ぶわけでもなく、たまに苦い顔を見せる程度で最後まで言葉を発さずに席を立った……  ほかにも作家の白川道さんは中瀬ゆかりさんを連れてグランプリには必ず現れた。競輪ファンのお笑い芸人・U字工事、安田大サーカスの団長がスタンドを通ったりもした。競輪グランプリ中継にも毎年出演する武豊騎手も競輪ファンだ。京王閣の広いスタンドを生かして、中継スタジオはスタンド最上段に設けられるため、武豊もこのスタンドには何度か登っただろう。また、競輪G1・寛仁親王牌の名前にもなっている寛仁親王も、1度、早朝の京王閣ジャンボスタンドに降り立って景色を眺められたことがあった。

2019年4月27日撮影。京王相模原線京王多摩川駅前にある京王閣競輪場。駅から解体工事の様子を眺めることが可能

 最近では開催日数も減り、本場に足を運ぶ機会も減ってしまった京王閣競輪。先日、久しぶりに京王閣を訪れたのだが、取り壊されるジャンボスタンドを見るのはなんとも寂しい光景だった。筆者が競輪を始めたころには券売所、売店、そして休憩所など、メインスタンドではないこちらにも多くのファンが集まっていた。とにもかくにも京王閣競輪場の景色は変わる。平成で役目を追えたジャンボスタンド跡地、令和ではいったいどんな景色が見られるのだろうか。 【シグナルRight】 SPA!ウェブ班に所属しながらTwitterやYoutube「公営競技大学チャンネル」での解説活動をしている。@signalright 文/佐藤永記(シグナルRight)公営競技ライター・生主。シグナルRightの名前で公営競技の解説配信活動「公営競技大学」を個人運営している。また、日刊SPA!のギャンブルコーナー勝SPA!編集担当も。Twitter:@signalright
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