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40代男性、課長への昇進を機に突如訪れた“異変”。頭の中に響く罵詈雑言の「恐ろしい正体」

幼い頃に親から受けた心の傷や性被害などが、大人になってから強烈な心身の不調を引き起こすことがある。その症状は発達障害によく似ているが、実はトラウマによる「複雑性PTSD」の可能性がある――そう指摘するのは、『トラウマからの回復』の著者、精神科医・生野信弘氏だ。 「第4の発達障害」とも呼ばれる、複雑性PTSDから回復する道を探った。

課長への昇進で突如訪れた異変

見落とされた[第4の発達障害]

蓋をしていた幼少期の記憶。思い出さなくとも当時聞いた暴言が、職場の仲間の声となって再現され、不調に苛まれた

関西在住の大島芳樹さん(仮名・40歳)は、妻子とともに郊外のマンションに暮らす市役所職員。「平凡だけど幸せな人生を送ってきたはず」そう自身でも振り返るが、2年前の4月、突如異変が訪れる。きっかけはヒラ職員から課長への昇進だった。 「役職がついたことで、自分の意思で判断して部下に指示を出さなくてはいけない。その行為に異常な恐怖を覚えたんです」

頭の中に響く罵詈雑言

大島さんの心身は、半年もしないうちに悲鳴を上げた。 「たとえば上司に送るメールを作成するだけで、その上司の声で『大島は使えない』『能力がない』と僕への罵詈雑言が頭の中に響く。一挙手一投足に部下や上司、同僚の声がつきまとい、パソコンを前に体が凍りついている状態でした。実際は職場の人に暴言など吐かれたことなど一度もないのに……。 そのうち、メールを一本送るだけで半日かかり、会議に遅れたり、書類の記入ミスも増えましたね。結局、上司の勧めで心療内科を受診、適応障害と診断され休職しました」
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頭の中に飛び交う声の正体は…
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トラウマからの回復トラウマからの回復

ミスが多い、集中力が続かない、癇癪を起こす、先のばし癖……もしかしてその裏には「トラウマ」が隠れているかもしれません。

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