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ウザがられず、愛され、慕われる。新時代の中年像をTKO木本武宏×原田曜平が探る

 新卒時はバブル崩壊、就職氷河期、そして今はコロナ禍でリストラ、失業危機。時代の狭間で苦悩する40~50代は、一体、どうすれば新しい時代に適合することができるのか? 「松竹芸能の風紀委員」の異名を取るお笑いコンビ・TKOの木本武宏氏と若者研究の第一人者・原田曜平氏が、愛される中年像を模索していく。

挨拶しながら動画撮影……理解を超えた20代の行動

イカした中年

マーケティングアナリスト・原田曜平さん(左)とTKO・木本武宏さん(右)

原田曜平(以下原田):木本さんは、最近の若者にどんな変化を感じますか? 木本武宏(以下木本):芸人の世界でいうと、20代は感覚が全然違いますね。この前びっくりしたのが、20代のコンビが僕に挨拶に来たんです。そのとき、片方がスマホでずっとその様子を撮影しているんですね。「何してんねん?」と聞いたら、「『先輩に挨拶してみた』という動画を撮っているんです」と。僕らの常識ならさすがに撮影前にひと言許可を得ますよね?  でも、彼らは悪びれることもなく、平然としている。その様子を見たときに怒りを通り越して、「こいつらは自分の理解を超えている!」と怖くなり、「……おぉ、頑張りや」と答えるのが精いっぱいでした(笑)。 原田:「Z世代」と呼ばれる今の20代の大きな特徴は、携帯1台目からスマホを使っていること。擁護する気はないのですが、僕ら40~50代とは見ている世界が全然違うと思うんですよね。 木本:そうなんでしょうね。あと、変化として感じるのは、怒っても逆効果だということ。同じ事務所の後輩はかわいいから、以前は「挨拶ができない」「師匠を立てない」などとマナーがなってないと「あかんやろ!」ってガツンと言っていたんです。よそで失礼したらそのコが損するので、身内が叱るのは親心みたいなもんだと思っていました。  でも、今のコには怒ると本気で怖がられるので、「こうするべき」とは言わなくなりました。

褒められるのが当たり前、Z世代の価値観

原田:40~50代は昭和の価値観で育てられているから、「成長させたい」という気持ちで後輩を叱る。でも、今のコは「怒るという感情を持つ人自体がそもそもNG」という傾向が強いんです。 木本:え、そうなんですか? 原田:要は、怒るよりは、改善策を考えたほうが生産的なのに、それでも怒る人は空気が読めない人だと。あと、この世代はSNSで自分の存在を「いいね!」と褒められるのが当たり前なんです。 木本:なるほど。だから、叱ると逆にびっくりされるんですよ。
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尊敬されたい気持ちを捨てて“隙”をつくる
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