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セブン、ローソンが実質値引きで「食品ロス」減らしに動いたワケ/馬渕磨理子

「あの企業の意外なミライ」を株価と業績から読み解く。滋賀県出身、上京2年目、犬より猫派、好きな言葉は「論より証拠」のフィスコ企業リサーチレポーター・馬渕磨理子です。  私はこれまで、上場銘柄のアナリストとしてさまざまな企業の業績予測、市況予測を行ってきました。また、自身で株式投資を5年以上に渡って行い、市場に向き合ってきました。  本企画では、そんなリサーチャーである私馬渕の視点からみなさまに「あの企業の意外な情報」をお届けます。 コンビニ 令和時代イラスト

大手コンビ二が「食品ロス」対策に力を入れるワケ

 今回取り上げるのは、「令和時代のコンビニ業界の未来」です。  特にフォーカスを当てるのは食品ロスへの取り組みです。  毎日、大量の食品が廃棄されているコンビニ。現在、1日当たり380~600トンの食品が全国のコンビニで廃棄されています。しかし、各報道機関の発表によると、2019年秋より各大手コンビニチェーンは食品ロスに本腰を入れるようです。  賞味期限が迫ったおにぎりやお弁当を買った客に対して、セブン‐イレブンは今秋からnanacoポイントを数%上乗せし、ローソンも10%実質値下げすることを発表しました。  なぜ食品ロス問題に重い腰を上げたのか。その深い理由を紐解いていきましょう。

令和コンビニ改革、キーワードは「iPhone化」

 最近のコンビニといえば、24時間営業や人材難の問題が出てきていることはニュースで知っていることと思います。新規出店数は頭打ちの状態となっていますし、本部と加盟店の利益分配を含めて、従来通りの売上が見込めなくなるのは間違いありません。  そこで、この状況を打破したいコンビニ各社の決算発表で目立ったのは、加盟店舗のサポートを手厚くすること。  たとえば、セブンアンドアイHDの決算発表では、『今まで総額投資の60%を新規出店に充てていたが、2019年度は既存店の強化に60%以上を充てる』と述べています。  これはどういうことでしょうか。  同社のレポートを読み解くと、具体的には下記のような施策が実行されるそうです。 【令和コンビニ改革の一例(これまでの店舗を大事にする戦略)】 ・AI発注の実験 ・セルフレジの導入 ・既存店のレイアウト変更への投資 ・商品の陳列がしやすいスライド式棚の導入 ・派遣会社との連携(加盟店からの人材のSOSに対応するため) ・空気圧を変えるエアコン導入による掃除を楽にするなどの試み(店舗へゴミが入りにくくなります)  簡単に言えば、「拡大路線」から「メンテナンス路線」、あるいは「アップデート路線」への切り替えと言えるのではないでしょうか。  スマホで例えると、最新のiPhoneを購入するのではなく、今持っているiPhoneのアップデートを実行するイメージです。そして、その本丸とも言えるのが、今回話したい主題、フードロスの試みです。 コンビニ ゴミ袋
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あの飲食チェーンも実行した「食品ロス対策」のスゴさ
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