更新日:2019年10月30日 21:12
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日本人はなぜ英語で、名前→姓の順にするのか? 中国・韓国人は姓が先

「名字・名前」は日本の文化

世界 でね、問題は、「名字は大文字」という取り決めを知らない欧米人の方が大多数だということなんです。  もちろん、中国や韓国、日本も含めて、アジアの一部とハンガリーでは名字・名前の順番である、ということを知っている人も少ないです。  本来の名字・名前の順番で自己紹介をした韓国人学生の名字がキムという人が多かった時に、「韓国人は、キムという名前が流行っているの?」と素朴に聞いたアメリカ人学生の話があります。  僕がロンドンでイギリス人俳優を演出して、自分の作品を演出した時、最初、プロデューサーに「KOKAMI Shoji」と表記して欲しいと言いました。  イギリス在住の日本人プロデューサーでしたが、彼女は、「これは、フランス人が提案している方法ですね」と少し眉をひそめました。そして、「イギリスの演劇界で勝負をしたいのなら、名前の表記は、イギリスで受け入れられる方法がいいと思う」と言われました。  迷いましたが、イギリス演劇界の状況が分からなかったので、この時はプロデューサーの提案に従いました。まずは、受け入れられて、成功することが大切だと思ったのです。  僕自身、欧米社会に受け入れられるために、「名前・名字」の順番にして海外で戦っている日本人ビジネスマンをたくさん知っています。その人達を責めるつもりもありませんし、自分自身も欧米式に従ったのですから、責める資格もありません。  けれど、「日本人を含め、アジアの一部では、名字・名前の順番なんだ」と広がれば、わざわざ、自分の文化を捨てて、逆の順番にする必要はないだろうと思っています。  じつは、2000年に文科省の国語審議会が「言語や文化の多様性を生かすため名字を先にするのが望ましい」と答申を出しました。  けれど、それはまったく定着せず、現在の文部科学大臣の名刺も、ローマ字表記では名前、名字になっているのです。  日本人個人が世界で個別に戦おうとする限り、この順番は変わらないと思います。まず、首相や政治家の名前を正しい順番で表記し、少しずつ、「日本人の名前の順番はこうなんだ」という情報を広めていくことが必要だと思います。他のアジア諸国は、もう、国家的に進めているのですから。
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