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今、「京アニ」のためにできること。事件の影響は計り知れないほど甚大

世界中の京アニファンにも衝撃

 今回の事件は、日本のファンだけでなく、世界中の京アニファンにも衝撃を与えた。火災発生の第一報が流れて以降、SNSには「#pray for kyoani (京アニに祈りを)」などのハッシュタグが拡散している。  米アップル社のティム・クックCEOも、すぐさま「京アニのアーティストたちは数々の名作を通じて、世界中に世代を超えて喜びを広げてきた。心よりご冥福をお祈りいたします」と哀悼の意を表明。日本のアニメ作品の海外配給などを手掛ける米国のセンタイ・フィルムワークス社は、「HelpKyoAni Heal」(京アニの回復を助けよう)とクラウドファンディングを立ち上げ、19日現在、1億5000万円を超える寄付金が集まるなど世界中に支援の輪が広がっているのだ。総合批評誌『PLANETS』で副編集長も務める文筆家の中川大地氏が話す。 「京アニ以前は、スタジオジブリの宮崎駿監督や『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督に始まり、庵野秀明監督の『新世紀エヴァンゲリオン』あたりまでは巨匠の時代であり、作品的には非現実的なファンタジーやSFが主流だった。ところが、21世紀になるとアニメは深夜アニメが主流となり、ニッチなユーザーに届ける小品となっていく。そのなかで頭角を現したのが京アニでした。  京アニが勢いを増した’00年代前半は、ニコ動やユーチューブなどの動画サイト勃興期と重なる。学園モノの『ハルヒ』ではエンディングの“ハルヒダンス”が世界中で踊られ、作中の文化祭シーンではバンド演奏を緻密に描写していたが、要は、アニメの力で私たちの日常と地続きの舞台をキラキラ輝く風景として描いたのです。それがネット世代の若者の心に響き、“ハルヒダンス”を自分たちも踊り、それを動画サイトに投稿する文化を触発した。  つまり京アニ作品は、ロケ地の聖地巡礼も含め、アニメを現実から逃避するためのファンタジーではなく、現実を拡張して楽しむためのツールに変えたのです」  アニメといえばインドア系の暗いオタクが観るもの……そんな、先入観が支配していたが、『ハルヒ』以降、そのイメージがガラリと変わったのも事実だ。中川氏が続ける。 「京アニは、いわば“リア充オタク”を生み出したのです。実際、若くてファッショナブルでカワイイ女のコが、自らオタクを公言するようになった。『ハルヒ』を観た人がそうだったように、アニメをみんなで楽しんでいいものに変えた結果、観る人の実人生にポジティブな影響を与えた。ここに京アニの画期性があり、多くの人々に愛される理由の一端があります。  現在、支援の輪が広がっているが、この事件の特質は、被害者が魂を込めて作った作品が世に流通しているところにもある。だからこそ、犯人が発する表現(者)を萎縮させるような恐怖のメッセージではなく、彼らの作品を観て支援するべきではないか。  幸いにも京アニの作品はスマホ一つあれば視聴できるし、被害に遭ったクリエイターにお金も入る。すでにアニメファンの間で、こうした空気が醸成されています。この流れを少しでも多くの人々に広げることこそ、痛ましい事件に抗って一般の人々ができる、最大の貢献なのではないでしょうか」
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事件の影響は計り知れないほど甚大
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表紙の人/ MIYU

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