事件の影響は計り知れないほど甚大
ただ、事件の影響は計り知れないほど甚大のようだ。久保内氏が話す。
「今回の事件で、社員約150名のうち4分の1ものスタッフを同時に失ったわけですから、会社の体を取り戻すだけでも最低半年から1年はかかるかもしれない。
すでに、夏に公開予定の劇場版『Free!』の最新予告編の公開が中止になるなど影響も出ているが、もっとも深刻なのは人的損失です。京アニには多くの若い優秀なクリエイターが集まっており、なかでも監督は代えがきかない……。入社試験でジブリに受かっても、京アニに入るという話も珍しくなく、京アニを退社した人は大手スタジオの争奪戦になるほど。
今後、懸念されるのは、ほかのスタジオでは真似できない、精緻な表現を可能にさせる高い技術の継承でしょう。京アニはこうした技術のノウハウをいかに伝えていくかを考えて人材を育て、組織を形づくってきた。いわば秘伝の技を受け継ぐ京都の和菓子屋のような存在であり、日本のアニメ業界全体にとっても大きな損失と言わざるを得ない」
今は、一日でも早い復活をただただ祈るほかない――。
取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社
※週刊SPA!7月23日発売号「今週の顔」より