先輩ヤンキーの無茶な要求に絶体絶命!?
「振り向くと、中学で2コ上だったヤンキーの先輩たちが立っていました。その時はもう高校生ですね。何の接点もなく、顔は見たことあるぐらいの人たちです」
とはいえ、対面で呼び止められて無視もできない。逃げようにも距離が近すぎる。仕方なく先輩たちについていくことにした。

最近では、ヤンキーといえば『今日から俺は!!』をイメージする人が多いと思うが、山本さんいわく当時のヤンキーの雰囲気は『ビー・バップ・ハイスクール』の方が近いとのこと。(画像は映画『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎哀歌』[DVD])
「ああ、生意気だとかいってシメられるか、カツアゲされるんだろうなと思いました。こういう時、できたヤンキーの人だと真面目な奴は解放してくれたりするんですが、その日に限って僕も色気づいてジェルで髪を上げていたりしたので、同類に見られたんでしょうね……」
連れていかれた場所には、
さらに凶暴そうなヤンキーが4人待ち構えていた。ただどうも、先輩たちの仲間ということでもなさそうだ。
事態が飲みこめない山本さんたちが困惑していると、先輩からまさかの指令がくだされる。
「俺たちの仲間がコイツらにやられたんだ。だからお前らでコイツらやっちまえ!」
「え? なぜ僕たちが?」
しごく当然な疑問が頭をよぎるが、とても口に出せる雰囲気ではない。戸惑っている山本さんたちに先輩たちは更なる追い討ちをかける。
「モタモタしてっと俺たちがお前らやっちまうぞ! アイツらやるか、俺たちにやられるか、どっちか選べ!!」
「なぜその二択しかないのか……というか、あなた達がやればいいのでは?」
と内心で思いながらも、ただただ立ち尽くす山本さんたち。
だが、そんなこう着状態は一人の男の出現により打ち砕かれることになる。
「わりぃ、遅くなった」
そう言って現れたのは、雰囲気から察するにおそらく先輩の高校の番長。ただその番長も相当頭に血がのぼっていたのか、山本さんたちを見るなり
「ウチのモンやったのはお前らか!」といきなりの勘違い。またも胸ぐらを捕まれ、涙目になる山本さん。
さすがに先輩もマズイと思ったのか「違います。コイツらは俺の中学の後輩で、アイツらやっちまえって言ってたところで……」と説明してくれた。
が、その瞬間、先輩の顔面に番長の鉄拳が叩きこまれた。
「なんでお前らでやんねーんだよ! 中坊なんか巻き込むな!!」と一喝。
「言ってることはごもっとも! でも暴力はやめて(泣)」と思いながら、怯える山本さん。
そして、番長は山本さんたちに向き直るとまさかの一言。「悪かったなお前ら。もう行っていいぞ」と突然の開放宣言。
さっきまで一歩も動けなかった山本さんたちだったが、その言葉を聞くやいなや猛ダッシュでその場を後にしたという。
なんかとか無事に会場に戻ってきたものの、花火大会は既に終盤、フィナーレの打ち上げがはじまっていた。
「結局、花火を見られたのは最後の5分くらいじゃないですかね。誰かが
『いつもよりキレイに見える』とか言ってましたが、涙で曇って幻想的に見えただけだと思います」

見上げた花火は心なしかいつもよりキレイに見えた……(写真はイメージ)
一歩間違えば、ヤンキーにボコられて地べたに横たわっていたかもしれない。そういう意味で
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」みたいな状況だったわけで、無傷で帰ってこられたのは不幸中の幸いだったともいえる。
「ただあれ以降、地元はおろか東京に出てきた今でも花火大会には怖くていけません……」
そんな山本さん、別にこれが原因というわけではないが未だに独身とのこと。やはりここは20年越しのリベンジとして、今年こそ花火大会で素敵な出会いをゲットして欲しいところである。 <取材・文/日刊SPA!取材班>